素直に寄り添えない
喧しいばかりの感動の連呼
「ニッポン、メダルラッシュです!」
テレビ番組では、朝から晩まで、タレントやキャスター、あるいは記者やニュース解説者までもが絶叫している。
筆者の性格がひねくれているからなのだろうか、彼らが熱く叫べば叫ぶほど、逆に感動が醒めてしまう。
ロンドンオリンピックが始まった。英国風の皮肉と演出が見事に混在した開会式から、まもなく一週間が過ぎようとしている。
日本はメダルラッシュらしい。確かに各メディアが報じている国別メダルランキングによると、8月1日の時点で、金2、銀4、銅11と計17個のメダルを獲得、数だけいえば中国、米国に次いで3位となる。
とくに、銅の11個は断トツで、もしかして銅産出国としてチリに匹敵するのではないかと内心、将来の日本の資源外交に期待してしまう。
冗談はさておき、メダルラッシュは本当なのだろう。
しかし、筆者のように、貴金属収集を趣味とせず、それらにあまり関心を抱かない視聴者からすれば、テレビキャスターたちの感動の連呼は、喧しいばかりで素直に寄り添うことができない。
テレビは、メダルの数やメダリストばかりに焦点を当てているが、その時間があれば、肝心の競技内容について、あるいは4位でも5位の選手でも、それぞれがどのような戦術を持ち、どのような駆け引きがあったのか、そして何が不足して4位、あるいは何があったからこそ5位になったのか、そのあたりをたずねて、そして報じてもらいたいのだ。