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ポジショニングか能力か
ロンドン・オリンピックの結果を戦略論にこじつけて解釈する

楠木 建 [一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授]
【第14回】 2012年8月30日
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 スポーツとは無縁の生活を送っている(ジムでのトレーニングはわりと習慣的にする方だが、これはスポーツとは言えない。汗をかくのは主としてサウナの中)。自分でやるのはもちろん、観るほうも関心がない。毎回のことだが、オリンピックもすーっと通り過ぎてしまって、始まったにのも終わったのにも、気づくまでに大分時間がかかる。

 ということで、ロンドン・オリンピックが終わった(すでにだいぶ経っていますが)。関心がない僕でも、新聞であれだけ連日大きく報道されていると、「なでしこジャパンは銀メダルだったのか、偉いもんだな……」とか「それにしてもソロ(アメリカの女子サッカーのキーパー)という人は立派な顔をしているな」とか「吉田選手(女子レスリング)は金メダルか。さすがに強そうな顔をしているな」とか、重要なところはだいたいフォローできた。

 話はそれるが、オリンピックが開催されるたびに不思議に思うことがある。レスリングとか卓球とか柔道とか、普段はあまりフツーの人々の関心を集めない競技でも、オリンピックとなると大注目の大騒ぎになる。サッカーとか野球(こっちはオリンピックではやらなくなったのかな?)が観て面白いということはなんとなくわかる気がする(僕は観ないが)。でも、レスリングとかハードルとか重量挙げとなると、さほど「観て面白い」というものではなさそうだ(僕が言うのも僭越な話ですが)。ま、人々が全力を傾けて真剣勝負をしているという姿(それが4年に一度のオリンピックで集中的に見物できる)が面白いということなのだろう。

 話を戻す。オリンピック開催期間中は毎日「国別の獲得メダル数」という表が新聞に載っていた。これをチェックしていた人は多いだろう。で、日本の結果はというと、金7、銀14、銅17の合計38個、これは過去最大の数字ということで、まずはめでたい。ただ、金メダルの多い順に国別の順位が決まる(ということになっているらしい)ので、日本は11位だった。

 ここで質問です。オリンピックの成績上位20か国の中で、ある切り口に注目すると、日本が20か国中ナンバー1になる。ちなみに上位3か国はというと、2位がオーストラリアで、3位がドイツ。さて、日本は何のナンバー1でしょうか?

 答えは「獲得メダル総数に占める銀メダルと銅メダルの割合」。パーセンテージで示すと、日本が82%、2位のオーストラリアが80%、3位のドイツで75%となる(集計は僕のamadana製電卓による)。つまり日本は「わりといろいろな競技で上位にくるけれども、金メダルにはいたらず、銀メダル銅メダルで終わり、ちょっと残念だが、ま、よくやった、次回は金メダルだ!」という度合(?)がもっとも強い国ということだ。

 これとは逆に「金メダル集中度」(獲得メダル総数に占める金メダルの割合)がもっとも高い国は、上位20か国中でどこだと思いますか?

 答えは、北朝鮮。67%でぶっちぎりの1位。で、2位ハンガリー(47%)、3位韓国(46%)と続く。

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楠木 建 [一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授]

1964年東京生まれ。1992年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。一橋大学商学部助教授および同イノベーション研究センター助教授などを経て、2010年より現職。専攻は競争戦略とイノベーション。2010年5月に発行した『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社)は、本格経営書として異例のベストセラーとなり、「ビジネス書大賞2011」の大賞を受賞した。ツイッターアカウントは@kenkusunoki


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