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生活保護のリアル みわよしこ

「お金」に悩みながら、生きる意味を探る
生活保護に支えられて暮らす精神障害者の日常

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【第9回】 2012年8月24日
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平成22年、生活保護受給世帯のうち11%は、障害者世帯であった。障害者は基本的に、障害者となった後、一生を通じて障害者でありつづける。生計の手段が生活保護以外にない障害者も少なくない。

しばしば「税金を払わず、納税者に養われるだけの存在」と考えられがちな障害者は、自分のありようを、どう考えているのだろうか? 一生にわたって生活保護を受給する障害者は、一方的に「与えられる」存在なのだろうか?

「よく働く」と「快適に過ごす」が
両立している不思議な場所

青森市のメインストリート、新町通り。ホテル、飲食店、土産物屋、公共施設等とともに、オフィスビルが立ち並ぶ。
Photo by Yoshiko Miwa

 青森駅の駅前ロータリーから、東側に伸びる青森市の目抜き通り・新町通りに入る。片側2車線の、さほど広くもない道路だが、8月初旬には「青森ねぶた祭」の舞台の1つとなる。地方の中心街によくある、ビジネス街でも商店街でもある風景。シャッターを下ろしたままの店舗・オフィスビルの空室も目に付く新町通りを5分ほど進むと、雑居ビルの4階に、特定NPO法人「サンネット青森」がある。

 サンネット青森を一言で説明すると、「精神障害者が集まったり、雑談したり、仕事をしたりする拠点」ということになるだろうか。デイサービスセンターであるとともに、いわゆる「障害者作業所」でもある。居場所であり、仕事の拠点でもある。

 精神障害者は、脳の機能・器質の障害により、自分自身や周りの環境との折り合いがつけにくい。そのため、職業生活・社会生活・日常生活にある程度の制限が必要な場合もある。それらの点を除けば、精神障害者のほとんどは、良識も知性もある普通の人々だ。

「サンネット青森」が入居するビルの入り口。新町通りの、ごくありふれた雑居ビルの1つだ。
Photo by Yoshiko Miwa

 サンネット青森の朝は、午前9時のスタッフミーティングからはじまる。現在、スタッフは6名。朝のミーティングは、ごく通常の企業の「業務遂行のためのミーティング」という感じだ。

 話し合われるのは、まず、仕事内容だ。今日は、どのような仕事を誰がするのか。日中の主な業務は、地域に住む高齢者のための弁当の配達。それから、「花仕事」「花作業」と呼ばれている仕事。公園・駅前広場などの花壇への、花の植え付けや手入れだ。それらの仕事に従事するのは、利用者、つまり精神障害者たちである。

 スタッフミーティングでは、利用者たちの生活ぶりや、必要な通院が行えているかどうかも話題になる。利用者は全員が精神疾患を持っている。時に心身の調子を崩す人が出ることは、当然のこととして、織り込んで考えなくてはならない。

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


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急増する生活保護費の不正受給が社会問題化する昨今。「生活保護」制度自体の見直しまでもが取りざたされはじめている。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を知ってもらうことを目的とし、制度そのものの解説とともに、生活保護受給者たちなどを取材。「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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