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生活保護のリアル みわよしこ

貧困の世代間連鎖は止められないのか
「江戸川中3勉強会」25年目の夏に見た
生活保護世帯の子どもたちの現実

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【第8回】 2012年8月17日
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生活保護にまつわる問題の1つ1つに関して、責任の所在や解決方法が議論される時、ほとんど完全に忘れられている存在がある。生活保護世帯で育つ、20万人以上の子どもたちだ。一体、子どもたちは、どんな生活をしているのだろうか。そして、厳しい状況にある子どもたちに、周囲の大人たちは何ができるのだろうか。

今回は、1987年から25年にわたって生活保護世帯などの子どもたちを対象に開かれている「江戸川中3勉強会」の取り組みを紹介したい。

これが「勉強会」?
普通の中学生が集まる、夕方の集会室

会場入口に「江戸川中3勉強会」という掲示。会場は区営施設の集会室などである。
Photo by Yoshiko Miwa

 7月の火曜日の夕方、18時00分。

 東京都・江戸川区の、とある区営施設の集会室入り口に、目立たない掲示がある。掲示には「江戸川中3勉強会」と書かれている。

 入り口近くのテーブルに、中学生向けの問題集や参考書が積み上げられている。書名には「基礎」「基本」「わかる」といった言葉が目立つ。中1・中2向けのものも多い。いわゆる「教科書ガイド」もある。中学3年生向けの勉強会らしさを伺わせるものは、都立高校の入試問題集と進学ガイドブックだ。

 スタッフが少しずつ増えてくる。年齢は、主に20~30代に見える。服装は、大学生風であったりスーツ姿であったり、まちまちだ。スタッフは、社会人ボランティアと江戸川区職員からなり、現在8名程度。大学生ボランティアは重要な存在なのだが、現在は1人もいない。

18時30分ごろ。中学生が、1人、また1人、続いて2人連れで、というふうにやってくる。やって来るなり、スタッフと雑談する中学生。テーブルに着いて、学校の宿題を自発的に始める中学生。行動はまちまちだ。スタッフの誰かが、積極的に指示したり指導したりしているわけではない。現在、6~7名の中学生が参加しているという。スタッフによれば、「例年に比べると、7月にしては多い方」だ。

 中学生たちに、特別な特徴があるわけではない。明るかったり、はにかんでいたり。概して、ごく普通の、屈託ない14~15歳だ。服装は、男子はTシャツにカーゴパンツ、あるいはTシャツにジーンズ。どこにでもいる「ストリート系」の十代男子。女子は、少しだけレース飾りがあったりするフェミニンなロングTシャツに、夏らしい薄手のフレアスカート。スカートは、この夏流行している、重ね履き風のものであったりもする。やはり、どこにでもいそうな、「おしゃれ」に目覚めた十代女子。敢えて特徴を挙げるとしたら、安価な衣料量販店でよく見かけるタイプの服であることくらいだ。

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


生活保護のリアル みわよしこ

急増する生活保護費の不正受給が社会問題化する昨今。「生活保護」制度自体の見直しまでもが取りざたされはじめている。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を知ってもらうことを目的とし、制度そのものの解説とともに、生活保護受給者たちなどを取材。「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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