ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
大野耐一とトヨタ生産方式――その知られざる側面
【第2回】 2012年10月2日
著者・コラム紹介バックナンバー
三戸節雄 [経済ジャ-ナリスト]

「ムダの徹底的排除」が日本を救う

1
nextpage

トヨタ生産方式の特徴であり強みは、「ムダの意味」を把握し「ムダの排除」に徹底したことだ。大野耐一は「七つのムダ」に分類した。1.つくり過ぎのムダ、2.手待ちのムダ、3.運搬のムダ、4.加工そのもののムダ、5.在庫のムダ、6.動作のムダ、7.不良品をつくるムダ。
トヨタ生産方式は、ムダを浮き彫りにして、その絶滅をねらったシステムなのである。

「ムダ」を排除して「構造」を変革する

 「トヨタ生産方式は構造を変革する最良の手段」である。大野耐一が繰り返し説明するように、「徹底的なムダの排除」によって「利益の出る仕組み」、すなわち「収益性の高い組織構造」を創り出すのが目的である。

 トヨタ生産方式が規定する「七つのムダ」は、最良の「人間の知恵」であり「暗黙知」である。「構造変革」と「コストダウン」の標的となる。こつこつとムダを永続的に撲滅しなければ、効果は上がらない。

 「ムダは無限にある」「ムダを排除するとコストは下がる」「コストダウンは無限である」「利益は無限である」

 その過程で「利益の出る仕組み」が構築され、組織全体の「構造」が変わる。家庭も企業も国家も同じである。

 禅問答のようだが、大野耐一の思想(言葉)は永続性、無限性に支えられているところがある。考えさせ行動させる。それを持続させる不思議な力である。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
自分の時間を取り戻そう

自分の時間を取り戻そう

ちきりん 著

定価(税込):本体1,500円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
生産性は、論理的思考と同じように、単なるスキルに止まらず価値観や判断軸ともなる重要なもの。しかし日本のホワイトカラー業務では無視され続け、それが意味のない長時間労働と日本経済低迷の一因となっています。そうした状況を打開するため、超人気ブロガーが生産性の重要性と上げ方を多数の事例とともに解説します。

本を購入する
ダイヤモンド社の電子書籍
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


三戸節雄(みと・せつお) [経済ジャ-ナリスト]

1934年生まれ。 慶應義塾大学法学部卒業。「週刊ダイヤモンド」「プレジデント」各誌記者を経て、1977年よりフリ-ランス。大野耐一著『トヨタ生産方式』の出版にかかわり、大野耐一の人格に深く触れ、リーダーの資質とその構築するシステムを主たるテーマとする。 著書に、『なぜ、必要なものを、必要な分だけ、必要なときに、提供しないのか』(大野耐一との共著、ダイヤモンド社)、『大野耐一さん、「トヨタ生産方式」は21世紀も元気ですよ』(清流出版)他がある。


大野耐一とトヨタ生産方式――その知られざる側面

トヨタ生産方式の基礎を築き、世界の産業界に多大な影響を与えてきた故大野耐一氏が生誕100年を迎える今年、そのものづくりの思想に対する関心が再び高まっている。氏のものづくりの思想の核心を明らかにする。

「大野耐一とトヨタ生産方式――その知られざる側面」

⇒バックナンバー一覧