全世界でシリーズ累計100万部超のベストセラー『ブレイン・ルール』の第2作目にあたる『100万人が信頼した脳科学者の絶対に賢い子になる子育てバイブル』がついに日本上陸。「賢く幸せな子になってほしい」と願うすべての親のために、科学的に何度も「正しい」と認められた子育ての手法だけが紹介されている。本連載では同書より特別に一部を公開する。(初出:2020年2月14日)

最新科学で明かされた「つわり」と「IQ」の関係【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock

まずは「刺激しない」ことがたいせつ

 妊娠初期から中期の赤ちゃんにとって、胎内の住環境における最高の条件は「できるだけ刺激が少ないこと」だ。胎内は暗く、湿っていて、あたたかく、頑丈で外の世界よりずっと静かだ。胎内はその状態を維持しなければならない。

 受精卵が着床し、妊娠が始まると、妊娠初期の胎児である胎芽の脳になる部位は1分間に50万個もの神経細胞(ニューロン)をつくりだす。そのスピードたるや、1秒あたり8000個以上と驚異的なもので、このペースが数週間持続する。

 妊娠3週目にはこのようすを観察できるようになり、妊娠期の半ばくらいまで続く。この短期間に、胎児にはやりとげなければならないことが山ほどある! だから無知な親のせいで、この穏やかな環境を邪魔されるのは迷惑そのものだ。

 進化生物学者のなかには、人間の妊娠につわりが付き物なのは、穏やかな環境を守るためだと考える人もいる。つわりは丸一日続くことがあり(なかには妊娠中ずっと具合が悪い人もいる)、妊婦は淡泊な味を好み、単調な食生活を送るようになる。

 このように刺激物を避ける戦略をとったからこそ、私たちの母方の祖先たちは、自然界の風変わりな食べ物や腐った食べ物に含まれる天然毒素を摂取せずにすんだ。また、つわりに倦怠感がともなうおかげで、妊婦は赤ちゃんに危害を及ぼしかねない激しい身体活動を控えるとも考えられている。