マーク・マコーマック 子どものときの自動車事故が原因で、マーク・マコーマックは自分では激しいスポーツができなくなったが、スポーツの世界で最も影響力のある人物になった。スポーツのスタープレーヤーのマネジメントという特殊なビジネスを考え出し、育て上げたからだ。

 すべてはゴルフから始まった。自動車事故のため、アメリカンフットボール、バスケットボール、そして野球のプレーが不可能になったマコーマックは、ゴルフに専念する。プロゴルファーになろうとしたことさえある。このスポーツのおかげで、1950年代にはアーノルド・パーマーと知り合いになる。この出会いがナショナルスポーツマネジメント社を設立するきっかけとなった。

 同社は1960年代、インターナショナルマネジメントグループ(IMG)社となる。アーノルド・パーマー、ジャック・ニクラウス、ゲーリー・プレーヤーといった少数ながら粒揃いのゴルファーを得て、マコーマックは業務を開始、やがて国際的エージェンシーを育て上げる。

 現在はスポーツの世界という枠を超え、バイオリニストのイツァーク・パールマンやノーベル財団(ノーベル賞を授与している団体)に至るまで、実にさまざまな分野の顧客を抱えるまでに広がっている。90ヵ国にオフィスを構え、その業務はテレビ番組やイベントの運営、さらにはウェブサイトのマネジメントにまで及んでいる。

生い立ち

 1930年11月6日に生まれたマーク・マコーマックは、小さなころから父親について地元のゴルフコースへ通うほどゴルフに熱中した。

 教育には恵まれた。アメリカで2番目に古い教育機関、バージニア州ウィルムズバーグにあるウィリアム・アンド・メアリー大学に通い、フランス語の学位をとって1951年に卒業している。優秀な学生で、課外活動にも一生懸命に取り組んだ。大学新聞フラットハット・アンド・コロニアルエコー紙のスポーツ担当記者でフランス語クラブのプレジデントでもあった。続いてイェールのロースクールに入り、1954年に卒業した。

 ウィリアム・アンド・メアリーとイェール時代、マコーマックはずっとアマチュアとしてゴルフの腕を磨くことに力を入れた。そして1950年代に開催された大学対抗ゴルフトーナメントの会場で、アーノルド・パーマーという名の前途有望なプレーヤーに出会う。