館長はJR東海の技術部門出身者、年間約40万人を集める「リニア・鉄道館」の魅力とは何かリニア・鉄道館 岡部 仁 館長

世界最高速度を記録した車両が
まずお出迎え

JR東海が運営する「リニア・鉄道館」は、名古屋港のほぼ南端、金城ふ頭の一角に位置する企業ミュージアムである。ガラス張りのエントランス、そこに飾られた歴代の東海道を代表する列車のフォルムをかたどったオブジェが美しい。その先の空間では、3両の車両が出迎えてくれる。1954年に時速129キロメートルを記録した「C62形式蒸気機関車」、1996年に時速443キロメートルを出した「955形新幹線試験電車(通称:300X)」、そして2003年に時速581キロメートルを記録した超電導リニアの試験車両「MLX01-1」。いずれも、それぞれの時代に世界最高速度を記録した車両である。

さらにメイン展示室には、1913年から1990年代までに走行した32両もの車両が並び、一部は乗車も可能。そのほか、新幹線の運転シミュレータや、在来線の運転を体験できるスペースもあり、週末ともなれば親子連れや外国人旅行者などが列を作る。年間約40万人が来館、コロナ禍で落ち込んだが、2023年は約33万人が来館し、同年秋には開館(2011年)以来の累計来館者数が延べ600万人を超えたという。

一体、リニア・鉄道館の何が、そこまで多くの人を引き付けるのか。次ページからは、同博物館の驚きのコンセプトに迫る。