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僕らの時代のライフデザイン
【第6回】 2013年4月2日
著者・コラム紹介バックナンバー
米田智彦

ほしい未来は、つくろう。
21世紀の幸せのデザインとは?
鈴木菜央×米田智彦 対談【後編】

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仕事と生活は、今以上にもっと近づいてもいい。雑誌編集者から転身してウェブメディア「greenz.jp」を立ち上げた鈴木菜央さんと、『僕らの時代のライフデザイン』の著者・米田智彦さんが語り合う、「幸せ」を手に入れ、自由に生きるために必要なこと。

生きやすい世界を作るために
「自分中心」に物事を考える

鈴木:海外旅行をしなくても、見方を変えれば身近な場所だってすごく面白いと気づく。人生もそれと同じようなもんだな、と僕は思うんです。で、どうやって人生を面白くしていくかという視点で考えたとき、別に自分が動かず、世界を動かすというのもアリで。つまり自分のために、生きやすい世界を作るってこと。「greenz.jp」もキャッチフレーズは「ほしい未来は、つくろう。」ですから。

米田:考え方が似ていますね。僕の新刊『僕らの時代のライフデザイン』というタイトルにも、自分の仕事や暮らしを自分の手でデザインしていこうという意味を込めたんですよね。

鈴木:環境問題とか社会問題といわず、ただ「不便だな」とか「これはもっとこうあったらいい」とか思うことを自分から働きかけて、世の中を変えていっちゃえばいいじゃん、と。そうすると楽しい人生を送れるんじゃないかと思うんです。

米田智彦(よねだ・ともひこ) 1973年、福岡市生まれ。青山学院大学卒。研究機関、出版社、ITベンチャー勤務を経て独立。フリーの編集者・ディレクターとして出版からウェブ、ソーシャルメディアを使ったキャンペーン、イベント企画まで多岐にわたる企画・編集・執筆・プロデュースを行う。2011年の約1年間、家財と定住所を持たずに東京という“都市をシェア”しながら旅するように暮らす生活実験「ノマド・トーキョー」を敢行。

米田:なるべく現実の困難さに打ち拉がれるより、自分の身の周りから可能性を見つけていく。それがみんなにとってもいいと思われれば、どんどん広がって新しい「当たり前」になっていくわけだからね。

鈴木:そういう意味で、「自分中心」でいいんじゃないかなと思っていて。僕の友だちがイベントで自己紹介をするとき、「おととい娘が生まれました。娘がいい人生を送るためにはみなさんの努力が必要なので、ぜひともよろしくお願いいたします」って言ったんだけど、その感覚、素晴らしいな、って思ったんですよ。自分の周りに家族がいて、友だちがいて、国があって、地球があるわけだから。

米田:自分や家族を一番に考えることが、結果、世の中や地球を変えていくことにつながる、と。

鈴木:そう。本質的にはみんなの役に立つことをやったほうが前に進んだ感があるし、自分自身にも満足感があると僕は思っているんです。でもそれは利己的なことと利他的なことのどちらかを選択する、ということじゃない。世の中のためになることを気負わずにクリエイティヴィティを持ってやるんだけど、それが自分の矛盾のない暮らしにちゃんとつながっている。そのうえで妻や子どもとの時間もちゃんと持てて、それが健康につながり、体が健康だからちゃんと働ける、といういいループが、社会全体に広がるといいなと最近はすごく思いますね。

米田:『僕らの時代のライフデザイン』のなかでも書いたんだけど、「セルフ」「ワーク」「リビング」は三位一体で、ブータンの国民総幸福量じゃないけど「自分幸福度」みたいな指標がもしあるとしたら、それを決める要素はこの3つじゃないかな、って僕も思うんですよ。仕事で成功するために家庭や健康を失ったら意味がないし、正直続かない。サステナブルじゃないと思うんですよね。仕事って尊いものだし、そこにエネルギーを注ぐことはもちろん当然なんだけど、他のことを捨てて身を持ち崩してまで仕事をしたって、一時期は儲かるかもしれないけど倒産したり、大企業に勤めていてもリストラされたりすることもある時代だから。

鈴木菜央(すずき なお) greenz.jp発行人/NPO法人グリーンズ代表理事。76年バンコク生まれ東京育ち。2002年より3年間「月刊ソトコト」にて編集。独立後06年「あなたの暮らしと世界を変えるグッドアイデア」をテーマにしたWebマガジン「greenz.jp」創刊。07年よりグッドアイデアな人々が集まるイベント「greendrinks Tokyo」を主催。

鈴木:バランスのなかで、どの要素もある程度以上のレベルは保っておかないとね。

米田:それはリスクヘッジという面もあるけど、そもそも「仕事人」というだけじゃない別のキャラクターが、1人に付きいくつかあってもいいということでもある。家庭人の顔もあるし社会貢献活動をやっている顔もあるし、もしかしたらアーティストの顔があってもいい。どれも「自分」じゃないですか。もうそろそろ複数のキャラクターを持つことが、社会的にも認知されてもいいんじゃないかなと思うんですよね。

鈴木:たぶんその顔のなかには、お金になるのと、ちょっとしかならないのと、全然ならないのとがあるけれど、トータルで何とか暮らせたらいいわけですからね。

米田:そうそう、ライスワークとかライフワークって分けず、全部ライフワークとして考えたらいいんじゃないかって僕は思うんですよ。

鈴木:確かに生きることと働くことがもっとくっついていくといいな、って思いますね。

米田:仕事という意味でいえば、まだ日本では8割くらいが会社員だし、雇用流動性も低いし、副業禁止規定がある企業も多い。でも地方に移住した人や職業を変えた人の話をたくさん聞いてきて僕が感じたのは、気づいた人から確実に変わり始めているということ。特に大震災以降、生き方や働き方に対する価値観が曲がり角にきていますよね。この先どうなるかわからないなら今やりたいことをやっておこう、と考える人が増えてきた。人生を順番通りに進めるというより、すべてを同時進行でやっていくんだ、と。一度きりの人生だから。

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米田智彦 (よねだ・ともひこ)

1973年、福岡市生まれ。青山学院大学卒。研究機関、出版社、ITベンチャー勤務を経て独立。フリーの編集者・ディレクターとして出版からウェブ、ソーシャルメディアを使ったキャンペーン、イベント企画まで多岐にわたる企画・編集・執筆・プロデュースを行う。2005年より「東京発、未来を面白くする100人」をコンセプトしたウェブマガジン「TOKYO SOURCE」を有志とともに運営。数々の次世代をクリエイトする異才へのインタビューを行う。2011年の約1年間、家財と定住所を持たずに東京という“都市をシェア"しながら旅するように暮らす生活実験「ノマド・トーキョー」を敢行。約50カ所のシェアハウス、シェアオフィスを渡り歩き、ノマド、シェア、コワーキングなどの最先端のオルタナティブな働き方・暮らし方を実践する100人以上の「ライフデザイナー」と出会い、その現場を実体験する。共著に『これからを面白くしそうな31人に会いに行った。』(ピエブックス)、『USTREAMビジネス応用ハンドブック』(アスキー・メディアワークス)。
Twitter ID @Tomohiko_Yoneda
ノマド・トーキョー http://nomadtokyo.com
有料メルマガ「トーキョー遊動日記」http://theory.ne.jp/yoneda_tomohiko/

 


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家やオフィス、家財道具を持たずに旅しながら暮らす生活実験プロジェクト「ノマド・トーキョー」から見えてきた、新時代の働き方・暮らし方。パラレルキャリア、コワーキング、独自の経済圏、DIYリノベーション、デュアルライフ、海外移住…ライフプランが役立たない不確実な時代の人生設計とは?

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