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上久保誠人のクリティカル・アナリティクス

小学校教育もシューカツも根は一緒
日本社会を停滞させる「本音と建前」

上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]
【第56回】 2013年3月27日
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 大学4回生の就職活動が本格化している。今年は、経団連が加盟企業に対して採用試験や面接を4月1日以降に行うことを「紳士協定」として呼びかけたこともあって、例年よりも就職活動の開始時期が遅くなった。

 大学では1、2回生時に、専門分野に入る前に必要な知識・教養、技法・スキル、語学力などの基礎を身に着ける。そして、3回生から、卒業論文の完成を目標にして、より専門的な研究に取り組むことになっている。ところが、3回生の大半の期間を就活に費やすことになり、学生は大学らしい教育を受けることなく社会に出ることになっていた。

 だが、今年の4回生は就活の開始時期が遅くなったことで、3回生時に学業に専念できる時間が長かった。知識・教養・スキルの習熟度は、例年よりも高いように思う。企業側は、学生が大学で身に着けた知識やスキルに期待などしていないだろうが、今年の4回生が、企業側の残念な認識を、少しでも変えてくれればと思う。

私の就職活動:
「就職協定」の建前と本音

 この連載のプロフィールに記載の通り、私は1991年に伊藤忠商事(株)に入社した。私の就職活動は、現在とは真逆で「売り手」市場だった。バブル経済による好景気で、企業活動は拡大し、新卒の求人を増やしていた。学生1人に対し、何社も殺到するような状態であり、企業は優秀な学生の囲い込みに必死であった。

 当時と現在の就活で大きな違いなのが、現在は廃止されている「就職協定」の存在だ。高度成長期、企業側が優秀な学生を確保しようとして、就活がどんどん早期化した。これに対し、大学側は学生の学業専念が阻害されると企業側を批判した。企業側と大学側の間で協議の場が設けられ、一定の時期まで企業から卒業見込みの学生に対するアプローチを行わないという「就職協定」が締結された。

 私が就活を行った1990年は、10月1日が会社訪問解禁日だった。企業は、10月1日以前に学生に接触しないことになっていた。だが実際には、多くの学生が10月1日以前に企業の採用内定を獲得していた。私の場合は、5月頃から「OB訪問」として企業と接触し、7月中旬から一斉に始まった商社の面接に呼ばれ、伊藤忠など4社の内定を得た。

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上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]

1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。博士論文タイトルはBureaucratic Behaviour and Policy Change: Reforming the Role of Japan’s Ministry of Finance。

 


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国際関係、国内政治で起きているさまざまな出来事を、通説に捉われず批判的思考を持ち、人間の合理的行動や、その背景の歴史、文化、構造、慣習などさまざまな枠組を使い分析する。

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