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米ヤフーが巨額買収を決めた
「タンブラー」とは何者か?

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第246回】 2013年5月22日
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「タンブラー」のログイン画面。ユーザーのダッシュボード(タイムライン)には、創業者であるカープ氏の買収に賛同するコメントが掲載された。そのなかで「タンブラーのサイトの色は紫にならない(紫は米ヤフーのイメージカラー)」とコメントし、買収後も独立性は守られると説明している

 ヤフーが、若者に人気のブログサイト、「タンブラー(Tumblr)」を11億ドルで買収する。

 この買収は、インターネット企業の買収話の中でも最も大型ディールの1つとなるものだ。かつてグーグルがユーチューブを買収した金額は16億ドル、またフェイスブックが写真共有サイトのインスタグラムを買収したのは10億ドルだったので、それらに匹敵する規模である。

「タンブラー」とは、
美しくデザインされたブログの集合体

 当然、これだけの高額な金を払って、その元が取れるのかという疑問が出ている。

 タンブラーは、2007年にニューヨークで創設されたブログとソーシャルを統合したようなサイトだ。

 他のブログと異なって、サイトを美しくレイアウトしたり、見栄えのある写真をフィーチャーしてシェアしたりするのが簡単なため、ことにデザイン・コンシャスな若者に人気がある。「それまでは、ウェブデザイナーがいなければ作れなかったような美しいサイトを、ごく普通のユーザーも作れるようになった」というのが、タンブラーが評価される大きな特徴である。

 15歳で高校をドロップアウトした創設者、デヴィッド・カープの我流、自在的な人柄とも相まって人気を呼び、現在では1億870万のブログがタンブラー上でホストされ、これまで5009億件もの投稿が行われてきた。社員も178人にまで成長した。

 有名なベンチャーキャピタル会社も投資を行い、これまで5段階、総額で1億2500万ドルの資金提供を受けている。つまり、それだけの注目株だったというわけだ。

 11億ドルはちょっと高すぎる買い物ではないのかという声は多いが、ヤフーにとってはタンブラーを抱えるイメージは決して悪いものではない。

 かつてのインターネット企業の星だったヤフーも、今では大企業的な存在となってしまい、数々の失策も伴ってどうしてもイメージ刷新が必要な状態だ。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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