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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

「ダム論」の再検討
~賃金上昇を伴うデフレ脱却を目指して~
――森田京平・バークレイズ証券チーフエコノミスト

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第100回】 2013年6月12日
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デフレ脱却を見通す上で
「ダム論」を再検討

 日銀は「総合CPI(消費者物価指数)で前年比2%」という「物価安定の目標」の下、「量的・質的金融緩和(QQE)」を行っている。ただし、単にCPIが上がればよいというものではない。実体経済の改善に裏付けられる形で、賃金が上がらなくてはならない。

 2000年代初頭のゼロ金利解除時に盛んに使われた「ダム論」に立つのであれば、ダムを超えて川が下流に流れるように、企業の利益が家計に分配され始める(=賃金増)のはいつだろうか。そのために我々は、「ダムの水量」(企業の利益)、「ダムの高さ」(損益分岐点売上高比率)、「ダムの水圧」(設備投資)を見る必要がある。

経常利益(ダムの水量):
リーマンショック前に近づいたが
構図は「引き算型」

 「ダムの水量」である日本企業の利益(ここでは経常利益)から見てみよう。今月、財務省より発表された『法人企業統計』(1~3月期)によると、経常利益は昨年7~9月期の年率48.7兆円(季節調整済み)を底として、今年1~3月期には同53.0兆円まで増加した(図表1参照)。これは、リーマンショック前の2007年10~12月期の同58.0兆円に迫る水準だ。

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森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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