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「半沢直樹」ドラマ化記念 池井戸潤・特別寄稿
2013年7月5日
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池井戸 潤

原作とドラマ、似て非なるもの
「半沢直樹」ドラマ化記念 池井戸潤・特別寄稿

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いま、池井戸潤氏の作品がアツい。5月に「週刊ダイヤモンド」で半沢直樹シリーズ第4弾「銀翼のイカロス」の連載を開始。7月に入り、『半沢直樹』(TBS、主演:堺雅人)、『7つの会議』(NHK、主演:東山紀之)と立て続けにドラマ化が決まっているのだ。そこで、原作を提供した池井戸氏に、小説とドラマの違いについてご寄稿いただいた。第一線のクリエーターどうしの覚悟が垣間見える特別編。

ぼくは脚本に注文をつけない
――小説とドラマ、そのアプローチの違い

 ドラマの原作を提供するに当たって、キャストや脚本には、一切の注文をつけない。

 この夏、TBSでドラマ化される『半沢直樹』、同時期にNHKでも『七つの会議』という二本の連ドラに原作を提供したが、ふたつともなんの注文もしなかった。この原稿が世に出ているころには、すでにオンエアが始まっているかも知れないが、その出来の如何は見てのお楽しみだ。

 そもそも小説とは、人間の内面を描くものだ。もちろん、そうでないと主張する作家もいるだろうし、頭の中に思い描いた場面を文字に変換しているという作家もいる。特に正解があるわけではない。だけど、ぼくの小説観では、目に見えるものへの執着は少なく、たいていの場面は、会話と内面へのアプローチで成立している。目で見えるものを精緻に描写することが小説の役割だとは思えないのだ。

 ビルの爆破シーンを考えてみるといい。

 その状況にどれほど筆致を尽くしたところで、映像での迫力には遠く及ばない。

 同じように、内面を描写することで人間にアプローチしてきた原作は、そのままそれを映像に乗せるには不向きではないか。

 映像には映像のアプローチがある。

 そして、映像であるドラマには、書籍の読者とは一線を画す、一般視聴者というお客さんがいる。読者なら馴染みでも、視聴者となると、ぼくにはその好みや思考は皆目わからない。小説は読者に向けて書かれたものだが、その内容が、必ずしもドラマとしてふさわしいかというと、どうもそうではないような気がする。

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池井戸潤(いけいど・じゅん)

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒業。1998年『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞。2010年『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞を受賞。2011年『下町ロケット』で第145回直木賞受賞。他の代表作に『空飛ぶタイヤ』『ルーズヴェルト・ゲーム』や、この作品の前作となる半沢直樹シリーズ『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』などがある。

 


「半沢直樹」ドラマ化記念 池井戸潤・特別寄稿

いま、池井戸潤氏の作品がアツい。5月に「週刊ダイヤモンド」で半沢直樹シリーズ第4弾「銀翼のイカロス」の連載を開始。7月に入り、『半沢直樹』(TBS、主演:堺雅人)、『7つの会議』(NHK、主演:東山紀之)と立て続けにドラマ化が決まっているのだ。そこで、原作を提供した池井戸氏に、小説とドラマの違いについてご寄稿いただいた。第一線のクリエーターどうしの覚悟が垣間見える特別編。

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