競合の増加と単価の下落は、業界を問わずあらゆる企業が直面している問題だ。海外の有力プレイヤーが国内市場に攻め込むなどビジネス環境は厳しさを増し、従来の営業スタイル続けても、今までと同じ結果でさえ残せなくなってきた。

 セールスフォース・ドットコムのシニアマネージャー、田崎純一郎氏は、その原因は大きく3つあると言う。

エクセルでの顧客管理はもはや時代遅れ

セールスフォース・ドットコム
マーケティング本部
プロダクトマーケティング
シニアマネージャー
田崎純一郎 氏

 第1が、営業現場のスキル向上の仕組みである。多くの企業が営業現場でのトレーニングを行っているが、OJTを強化しても、いつも上司や先輩が顧客先に同行するわけにもいかない。

「自分で成長できる人材しか生き残れなくなっています。これは若い営業だけでなく中堅社員も同様です。新製品が出たら売り方は変わります。売れる方法を全体に展開する仕組みが必要なのです」(田崎氏)

 第2に、社内における情報共有のあり方だ。日本企業の営業組織には、「欧米と違い、チームで営業活動を行う」という部門がある一方で、「営業はそもそも一匹狼だ」という部門もある。しかし、企業にとって大切な情報、つまり既存顧客、見込客を含めたトータルな顧客情報を管理し、共有している企業は少ない。

「顧客情報は組織の財産です。現状では、エクセルなどを使って個々人が属人的な管理を行っているケースが多く、特に新規顧客に関しては見落とし、漏れが多い。名刺フォルダや手帳など紙ベースでの管理では、組織の情報という資産が増えていきません」(田崎氏)

 そして第3が、スピードだ。競合の増加と単価の下落に直面している中、数年前と同じスピード感では必ず売上は低下する。

「営業現場のスピードアップ、つまり、今までの3倍早く受注をすれば、単価が落ちても売上は減りません」 

 これら3つの課題は、それぞれが絡み合っている。情報共有のレベルを向上させれば、営業担当者の提案力を高め、案件数を増やし、単価を上げ、成約までの期間を短縮できるのだ。それには、営業支援システム(SFA)などのツールが有効な手段となる。