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生活保護のリアル みわよしこ

「家賃5万3700円(東京)」は高すぎる?低すぎる?
生活保護基準部会で議論された住宅扶助の行方

――政策ウォッチ編・第54回

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【政策ウォッチ編・第54回】 2014年2月7日
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2013年1月、厚生労働省は生活保護費のうち生活扶助費を引き下げる方針を明らかにした。この引き下げは、2013年8月1日より既に実施されている。

生活保護制度を変質させ、縮小させようとする国の目論見が、生活扶助費にとどまる気配はない。生活保護制度のありとあらゆる部分に及ぼうとしている。

今回は、2013年10月から再開されている生活保護基準部会より、住宅扶助に関する議論を紹介する。生活の根幹である「住」の最低ラインは、どうなろうとしているのだろうか?

約10ヵ月ぶりに再開された
生活保護基準部会

 2013年10月4日、厚生労働省内で、社会保障審議会・生活保護基準部会(第14回)が開催された。2013年1月18日以来、約10ヵ月ぶりの開催であった。

 生活保護基準は、5年に1回、生活保護基準部会(以下、基準部会)を開催して見直すこととなっている。これは2004年12月15日、「生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告書」で定められた。以後、2007年・2012年に見直しが行われている。

 2007年の見直しでは、生活保護基準の引き下げは行われなかった。しかし2012年の見直しにおいては、生活保護を利用しているほとんどの世帯で大幅な生活扶助の引き下げという結論となった。この引き下げは、2013年8月1日より実施されている。引き続き、2014年4月1日(注)・2015年4月1日の3回を合計して最大8%、生活扶助の減額が行われる予定である。また、2013年末に支給された年末一時扶助に関しても、大幅な減額が行われている。

 なお、引き下げの根拠とされているのは、基準部会が2013年1月21日に発行した報告書であるが、この報告書の中には「だから生活扶助等は引き下げることが妥当」という内容の文言は含まれていない。むしろ、結論を導くに至った手法の限界や問題点・生活保護当事者に支給される金額の引き下げに対する慎重論の方が色濃く見られる。なぜ、この報告書に即して、「生活扶助は引き下げられるべき」という結論を導くことができるのか。筆者には理解できない。

(注)
予定されていた引き下げ幅に対し、物価上昇・消費税率が5%から8%となることを考慮した加算が行われる結果、多くの生活保護世帯で、生活扶助の金額は微増または微減となる。ただし、物価上昇の反映は充分であるかどうか・そもそも引き下げを断行することが妥当であるかどうかなど、問題視されている点も未だ数多い。

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


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急増する生活保護費の不正受給が社会問題化する昨今。「生活保護」制度自体の見直しまでもが取りざたされはじめている。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を知ってもらうことを目的とし、制度そのものの解説とともに、生活保護受給者たちなどを取材。「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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