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通貨革命か、それとも虚構か?「ビットコイン」を正しく理解する 野口悠紀雄
【第1回】 2014年2月20日
著者・コラム紹介バックナンバー
野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

【新連載】
ビットコインは社会革命である
――どう評価するにせよ、まず正確に理解しよう

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第1章 ビットコインを理解しよう

ビットコインは「きわもの」ではない

 「ビットコイン」に対する関心が、急速に高まっている。これは、インターネット上で使われている仮想通貨だ。

 日本のマスメディアは、これをどう評価するかについて態度を決めかねているが、概して言えば、ネガティブなスタンスだ。

 よくても「まったく斬新なものだが、今後の成り行きが注目される」とか、「規制・監視が必要」などという類の、腰の引けた扱いだ。悪ければ「きわもの」「詐欺」「犯罪の道具」「投機の手段」であるとされる。「したがって取り締まるべきだ」という結論になる。

 こうした評価の根底にあるのは、「責任ある主体が発行・管理しない通貨など、広まるはずはない」「どこかに技術的または経済的な欠陥があるに違いない。だから、ビットコインを所有したり使用したりしていれば、いつか大損害を被る」という考えだ。

 しかし、実は、深刻な攻撃を受けているのは、既存の社会制度なのである。ビットコインの意義をそうした視点から取り上げたものは、私の知るかぎりでは、日本のマスメディアにまだ登場していない。また、ビットコインの潜在的可能性に注目し、それが社会をいかに改革しうるかを論じたものもない。

 この連載では、「ビットコインが何をもたらすにしても、それは通貨史上の大きな革命であるばかりでなく、まったく新しい形の社会を形成する可能性を示した」との認識に立ち、ビットコインの仕組みを解説し、それがもたらしうるものについて論じることとする。

正確に理解することから出発しよう

 この数ヵ月間に、ビットコインに関するニュースが、いくつも立て続けに報道された。

 2013年12月5日、中国人民銀行は、金融機関に対し、ビットコインを使った金融サービスの禁止を通達し、通貨として流通させない考えを伝えた。これにより、ドルに対するビットコインの交換価値が急落した。

 2月10日、大手両替業者Mt.Gox(マウントゴックス)がハッカーの大規模なサイバー攻撃を受け、引き出し停止を余儀なくされた。

 2月13日、薬物販売サイト「シルクロード2.0」がハッキングされ、総額270万ドル(約2億7500万円)相当のビットコインが盗み出された。

 これらのニュースは、ネガティブなニュアンスで報道された。「ビットコインの弱点が浮き彫りにされた」と解説しているものもあった。

 これらのニュースは、本当にビットコインの弱点を暴露するものなのだろうか? そうではない。少し考えればわかるように、まったく逆なのである。

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キーワード  採掘 , 決済 , 手形


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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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インターネット上で使われている仮想通貨である「ビットコイン」にに対する関心が、急速に高まっている。この連載では、「ビットコインが何をもたらすにしても、それは通貨史上の大きな革命であるばかりでなく、まったく新しい形の社会を形成する可能性を示した」との認識に立ち、ビットコインの仕組みを解説し、それがもたらしうるものについて論じる。

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