海外投資家の
安倍首相に対する信頼感急低下
下記の図表1は、各国の指導者に対する投資家の信頼感を示している。楽観から悲観を引いた指数で比較して、前回の2013年9月は日本の安倍首相が主要国のなかでトップであったが、今回2014年1月調査では前回比▲17と、安倍首相の評価が大きく低下した。
今年1月後半からグローバルな株価調整、「リスク・オン」から「リスク・オフ」のモードに転じた要因は、アルゼンチン危機に端を発した新興国問題にあった。さらに、米国の経済指標が予想を下回り、米国経済自体が変調をきたすのではないかとの不安も、グローバルな回復シナリオに冷や水を浴びせた。
ただし、そうした世界経済全体の要因に加え、日本固有の問題、すなわち安倍政権、アベノミクスに関する不安も日本株の低迷、また円高に対して機能している。その背景には、海外投資家のスタンスが日本に対して慎重になっている面もあるのではないか。
国内で意識される以上に
海外で安倍政権への不安は高まっている
具体的には、海外が意識する安倍政権へのリスク要因である。安倍政権の政権基盤は安定しており、今年2月の東京都知事選挙でも支持する候補者の当選で、野党の復活力も弱い。
しかし、安倍首相の2013年12月末の靖国神社参拝に伴い、海外から右傾化への不安が生じている。海外投資家は、日本人以上に東アジアにおける日本と中国との緊張を不安視している可能性がある。