ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
ロシアから見た「正義」 “反逆者”プーチンの挑戦

ロシアが国際社会から一気に孤立!
マレーシア航空機撃墜事件のインパクト

北野幸伯 [国際関係アナリスト]
【第4回】 2014年7月22日
1
nextpage

ウクライナ東部ドネツク州で7月17日、アムステルダム発クアラルンプール行きマレーシア航空NH17便が墜落し、乗客乗員298人が死亡した。ウクライナ政府は即座に、「現場付近を実効支配する『親ロシア派』が、ミサイルで撃墜した!」と発表。米国政府もこの見方を支持し、親ロシア派を支援するロシアを強力に批判しはじめた。そして、「全世界がロシアとプーチンを非難する」様相を呈している。今回は、この世界的大事件について考えてみよう。

結局、親ロシア派の誤爆?

 まず「誰が落としたのか?」を考えてみよう。はじめに断っておくが、結論は、「国際調査委員会」の発表を待つべきである。それまでは、誰がなんと言おうと「推測」に過ぎない。つまり、筆者がこれから書くことも、あくまで「推測」である。

 現段階で世界的に「もっとも可能性が高い」とされているのが、親ロシア派による誤爆。そして、筆者もそう思う。「親ロシア派が、国際調査チームの現地視察を邪魔している」という情報も多々あり、怪しさは増すばかりだ。

 「親ロシア派が民間機を撃墜するメリットはあるのか?」と考えると、答えは「NO」である。それは、結果を見ればわかる。今回の事件で一番評判を落とし、一番損をしたのは、親ロシア派なのだから。では、なぜ彼らは、マレーシア航空機を撃墜してしまったのか?そう、ウクライナ軍が、彼らの拠点であるドネツクへの空爆を繰り返していたからだ。親ロシア派はこれまで、ウクライナ軍のヘリコプターや戦闘機を撃墜している。

 しかし、彼らはしょせん民兵。軍用機と民間機を見分ける技術はないだろうから「ウクライナ軍の飛行機と勘違いし、誤爆した」可能性は大いにある。陰謀論者なら、「ウクライナ政府は、『誤爆』を期待して、戦闘地域の民間機飛行を許可していた」などと言うだろう。しかし証拠不十分で、空想の域を出ない。

 極めて少数ながら、「ロシア軍が撃墜した可能性もある」という声もある。しかし、これは「何のために?」という疑問が出てくる。「第三国の民間航空機を撃墜してロシアに何のメリットがあるのか?」。答えは「何もない」である。実際、今回の事件でロシアは世界的バッシングの対象になった。ますます孤立し、「大損」している。こうなることが予想できないほど、プーチンもバカではないだろう。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

北野幸伯 [国際関係アナリスト]

きたの・よしのり/1970年長野県生まれ。モスクワ在住24年の国際関係アナリスト、作家。その独特の分析手法により、数々の予測を的中させている。1996年、日本人で初めて、ソ連時代「外交官・KGBエージェント養成所」と呼ばれたロシア外務省付属「モスクワ国際関係大学」(MGIMO)を卒業(政治学修士)。1999年創刊のメールマガジン「ロシア政治経済ジャーナル」は現在読者数3万6000人。ロシア関係で日本一の配信部数を誇る。主な著書に「隷属国家日本の岐路」(ダイヤモンド社)、「プーチン最後の聖戦」、「日本自立のためのプーチン最強講義」(共に集英社インターナショナル)など。


ロシアから見た「正義」 “反逆者”プーチンの挑戦

ウクライナ問題などで欧米に楯突き、“反逆者”となったプーチン・ロシア大統領。しかし、ロシア側から物事を眺めれば、ウクライナ問題で暗躍する欧米側の思惑など、日本で報道されている“事実”とは異なるものが見える。気鋭の国際関係アナリストがモスクワから、欧米vsロシアの真相を解説する。

「ロシアから見た「正義」 “反逆者”プーチンの挑戦」

⇒バックナンバー一覧