介護は、日本人のほとんどすべてが、一生の間に何らかの形でかかわらざるをえない深刻な問題である。今後、人口の高齢化がさらに進むことにより、その深刻さはさらに増す。日本はこの問題を乗り越えることができるだろうか。以下では、それを主として費用の面から検討する。

制度の概要

 日本の介護システムの中心にあるのは、2000年4月1日に発足した介護保険制度である。40歳以上の者が被保険者となる。このうち、65歳以上の者を第1号被保険者といい、40歳以上65歳未満の医療保険加入者を第2号被保険者という。

 介護保険料は全国平均月額(2012~14年度)で4972円である。

 財政状態は後で検討することとし、まず給付を見よう。

 介護の必要性を判断するために、最も軽度の要支援1から最も重度の要介護5まで、7段階の要介護度が設けられ、介護度ごとに支給限度額が設定されている。

 支給限度額を超えるサービスを受けた場合、超える分の費用は全額利用者負担となる。また、対象外のサービスは、全額自己負担だ。

 さらに、受けたサービスの1割は自己負担となる(なお、厚生労働省は、15年8月から、所得の多い高齢者の介護費の自己負担割合を2割に引き上げる予定)。

給付の状況

 「平成成24年度介護保険事業状況報告」によると、要介護者数は2013年3月末で、561万人である。これは、第1号被保険者の17.6%だ。サービス受給者は458万人である。これは、第1号被保険者の14.4%だ。

 他方、13年度で、保険給付額は8.1兆である。

 サービス受給者1人当たりでは、保険給付は年間177万円。月14.7万円だ。

 これは平均値であるが、介護に必要な費用は、要介護度によって大きく異なる。給付額も介護状態によって大きく違う。