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生活保護のリアル みわよしこ

貧困の連鎖は本当に断ち切れるのか?
子どもの貧困への取り組みをめぐる行政の迷走

――政策ウォッチ編・第74回

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【政策ウォッチ編・第74回】 2014年8月29日
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生活保護世帯の子どもたちは、生活保護を利用していることに対して、どのような責任もない。もし親に多大な「自己責任」があるとしても、子どもは親を選んで生まれてきたわけではない。

では日本の大人たちは、そうした生活保護世帯、低所得世帯の子どもたちに、親や育つ家庭がどのようであれ、健全な育ちの機会と充分な教育を保障することができるだろうか?

「生まれ」は選べないのに?
拡大・固定化する格差

 生活保護不正受給や、生活保護利用者たちの一部の逸脱した行状は、センセーショナルな報道の対象となりやすい。そのような報道はしばしば、人々の感情を、

 「税金で養ってもらっている生活保護利用者なのに!」
 「生活保護なんだから、もっと劣悪な生活をしているべきなのに!」

 という方向に動かしてしまう。

 しかし、その同じ人々も、

 「税金で養ってもらっている生活保護世帯の子どもなのに、一般世帯の子どもと同じような生活をするなんて!」
 「生活保護世帯の子どもなんだから、もっと劣悪な生活をしているべきなのに!」

 とは考えないことが多い。

 子どもは、親や生育環境を選んで生まれてくるわけではない。生活保護世帯の子どもたちは生活保護受給者ではあるが、どのような意味でも「自己責任」とは無関係だ。親には、何らかの「自己責任」を問われる余地があるかもしれない。でも、親がそうであるとしても、子どもは巻き込まれることを余儀なくされた立場にある。

 昨今の日本が、まぎれもなく「格差社会」であることは、否定のしようがない。格差は拡大しつつあり、なおかつ固定化しつつある。親の教育努力や子どもの自助努力と関係なく、「親が上流層(下流層)だったら、子どもも上流層(下流層)」となりやすい。しかし未だ日本には、

 「本人が選びたくても選ぶことのできない理由で、本人が生涯にわたって何らかの不利益を被り続けることは望ましくない」

 という考えを心の底に抱いている人々が少なくないのではないだろうか?

 戦後民主主義社会は、不完全ながら、親の属する階層・親の文化などから子どもが離脱する自由を保障してきた。その最後の残照くらいは、未だ日本に残っていそうだ。

 このことを念頭において、子どもの貧困をめぐる近年の動きを見てみよう。

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


生活保護のリアル みわよしこ

急増する生活保護費の不正受給が社会問題化する昨今。「生活保護」制度自体の見直しまでもが取りざたされはじめている。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を知ってもらうことを目的とし、制度そのものの解説とともに、生活保護受給者たちなどを取材。「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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