ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
いまこそ読みたい! ダイヤモンド社100年100冊
【第52回】 2014年10月2日
著者・コラム紹介バックナンバー
坪井賢一 [ダイヤモンド社論説委員]

訳語が読みやすくなった大作の新版
企業成長の源泉を解き明かした古典的名著
『企業成長の理論』(第3版)

1
nextpage

今回取り上げるのはエディス・ペンローズ著『企業成長の理論』(第3版)です。原著は難解で有名ですが、それでも版を重ねてきたのは、経営の真髄を説いているからにほかなりません。その真髄のエッセンスを少しだけご紹介します。

ブラックボックス化されていた
企業行動に切り込む大作

エディス・ペンローズ著、日高千景訳『企業成長の理論』(第3版)2010年刊。A5版上製の374ページ。重厚な印象を与えます。

 原題は“The Theory of the Growth of the Firm”、第1版は1959年に米国で出版されています。邦訳は1962年に第1版、80年に第2版がダイヤモンド社から出版されました。本書第3版は原書が1995年、邦訳は2010年に上梓されています。著者のエディス・ペンローズは第3版出版の翌96年に82歳で没しています。

 本書は非常に難解だと言われていますが、全編にわたって数式や図表を使用しておらず、文章だけで叙述しているためでしょう。彼女自身の造語も多いようです。

 基本的には新古典派ミクロ経済学をベースにしていますが、ミクロ経済学がブラックボックスにしている企業の内部を分析しているところに独自性があります。1950年代以降の経済学は、ペンローズと同様に新古典派ミクロ経済学のセントラルドグマ(教義)である「完全競争市場」「企業の利潤極大化行動」といった前提から離れ、より複雑な企業や人間の行動を研究していく方向にありました。

 本書は長大ですが、日高千景・慶応義塾大学商学部教授による「訳者あとがき」を先に読んでおきましょう。最初から読むにあたって適切なアドバイスとなります。

 ペンローズは、企業をブラックボックスとして扱う伝統的な経済学とは異なり、その「内側」を重視する。「内側」を重視した結果、企業は二つの属性――物的・人的資源の一個の集合体であること、一個の管理組織体としてその全体に調整が及ぶこと――から定義される。(略)資源は潜在的なサービスの束である。すなわち、物的であれ人的であれ資源にはさまざまな活用の仕方があるが、ある時点では実はその一部が用いられているにすぎない。したがって、企業内には未利用のサービスが常に存在している。加えてペンローズは、資源から何らかのサービスが引き出されるのは、資源について人的資源が有する知識に依存すること、事業活動での経験を通じて、企業内の人的資源の知識は増大し、また、その内容は変化するのにともなって、増大し変化する。かくして、企業の内部には、常に成長の機会が存在することになる。(367-368ページ「訳者あとがき」より)

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
まいにち小鍋

まいにち小鍋

小田真規子 著

定価(税込):本体1,100円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
簡単で安くて、ヘルシー。ポッカポカの湯気で、すぐにホッコリ幸せ。おひとりさまから共働きのご夫婦までとっても便利な、毎日食べても全然飽きない1〜2人前の小鍋レシピ集!「定番鍋」にひと手間かけた「激うま鍋」。元気回復やダイエットに効く「薬膳鍋」や、晩酌を楽しみたい方に嬉しい「おつまみ鍋」など盛り沢山!

本を購入する
ダイヤモンド社の電子書籍
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


坪井賢一 [ダイヤモンド社論説委員]

1954年生まれ。78年早稲田大学政治経済学部卒業後、ダイヤモンド社入社。「週刊ダイヤモンド」編集長などを経て現職。著書に『複雑系の選択』『めちゃくちゃわかるよ!経済学』(ダイヤモンド社)『浦安図書館を支える人びと』(日本図書館協会)など。


いまこそ読みたい! ダイヤモンド社100年100冊

ダイヤモンド社は2013年5月1日に創立100年を迎えることになりました。雑誌を追う形で始まった書籍事業も、ビジネスジャンルを中心に刊行点数は1万点を優に超えています。

書籍は、その時々の経済環境や流行など世相を色濃く反映しているものが多数を占めますが、時代を超えて読み継いでもらいたい名著が、私達の書棚にはたくさん並んでいます。

本連載は100周年を記念し、普遍の名著と呼ばれる作品から、今だからこそ読みたい隠れた名作まで、有名無名織りまぜた100冊を紹介していきます。ダイヤモンド社が誇るベテラン執筆陣の、単なる書評にとどまらない論説をご期待ください!

 

「いまこそ読みたい! ダイヤモンド社100年100冊」

⇒バックナンバー一覧