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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

追加緩和のサプライズの一部は
「議事要旨の発表の遅さ」による副産物
~日銀コミュニケーションの改善余地~
――森田京平・バークレイズ証券 チーフエコノミスト

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第154回】 2014年11月12日
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追加緩和(QQE2):
まさにサプライズ

 10月31日、日銀は追加緩和(QQE2)に打って出た。多くの市場参加者にとってサプライズであった。実際株価は急騰し、円は急速に減価した。筆者も「追加緩和はない」と見ていた立場であり、同日は自分の不明を恥じた。

 日銀は追加緩和の背景を「消費税率引き上げ後の需要面での弱めの動きや原油価格の大幅な下落が、物価の下押し要因として働いている」と説明した。その上で「現在の物価下押し圧力が残存する場合、デフレマインドの転換が遅延するリスクがある」とし、追加緩和を正当化した。

黒田総裁:わずか3日前と
言っていることが全く違う

 しかし、この説明を聞いても筆者の戸惑いは拭えなかった。それまでの日銀の説明と著しく一貫性を欠くからだ。

 たとえば追加緩和のわずか3日前(10月28日)、黒田日銀総裁は参議院財政金融委員会で、「日本経済は『CPI前年比2%』の『物価安定の目標』の実現に向けた道筋を順調にたどっています」と明言した。

 物価は「順調に」目標に向かって進んでいると、たった3日前まで黒田総裁は国会で語っていた。追加緩和の背景として日銀が挙げた「消費増税後の需要の弱さ」や「原油価格の大幅下落」なども、その時点で十分認識できていた。

 それにもかかわらず、国会では全くそれらに触れず、物価の順調な推移を強調した。日銀の発言を丁寧にフォローしていた向きには、追加緩和の可能性を高く見る理由は見出せなかったであろう。

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森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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