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鈴木寛「混沌社会を生き抜くためのインテリジェンス」

変革の担い手“幕末イノベーター”を続々輩出
現代にも通ずる「飛耳長目」を貫いた松陰の真髄

鈴木寛 [文部科学大臣補佐官、東京大学・慶応義塾大学教授]
【第23回】 2015年1月22日
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国難に使命を見出すのは
現代も幕末も同じ

 こんにちは鈴木寛です。

 阪神淡路大震災から20年が経ちました。亡くなられた6434人の方々に哀悼の意を表します。個人的には、神戸で生まれ、幼少期、小学校の半分、中学・高校を神戸で過ごし、今でも実家が現地にある私としては、まさに故郷が見舞われた惨劇でした。

 終戦から半世紀の節目で起きたあの震災は、日本の社会が「ポスト戦後」を意識するきっかけになりました。私が関わっている分野の中でいえば、日本でNPO活動が本格的に動き出すきっかけになりました。戦後では最大規模の都市型災害とあって行政による公助の限界が浮き彫りになり、市民社会が地域を運営する意義に注目されたからです。

 私にとってさまざまな意味で転機となった震災ですが、自らの使命を見出した方々もたくさんおられます。著名人ですと、当時駆け出しのモデルだった藤原紀香さん(西宮市出身)は故郷の友人に励まされ、芸能界で勝負する決意を固めたそうです。

 私の友人では三木谷浩史さん(神戸市出身)。亡くなった叔父・叔母を含む500人の遺体が並ぶ公民館の光景を見て、「人はいつか死ぬ。人生は有限だ。残された時間は少ない」との思いを抱かれたそうです。それが後に楽天を起業する原動力になったと伺っています。

 使命の二文字は「命を使う」と書きます。つまり、私たちがどう生きるかが問われているのです。国難ともいえる事態を前に、己が使命を自覚する人はいつの世もいます。

 幕末では黒船が浦賀沖に出現して、太平の眠りを覚ましに来たことが志士たちの決起を促しました。その黒船に大胆不敵にも乗り込んで海外渡航を図ろうとしたのが吉田寅次郎。後に松陰と呼ばれる長州藩出身の若者は、このときまだ数え年で23歳に過ぎませんでした。

 ご承知の通り、今年のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」は松陰の妹、杉文が主人公。ドラマでも松陰が黒船に乗り込んだ様子が近く描かれることと思います。松下村塾で明治維新を築いた若者たちを育て上げた松陰の生き様に、大きな影響を受けた私としては、今年の大河ドラマは例年以上に興味深く拝見しています。

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鈴木 寛 [文部科学大臣補佐官、東京大学・慶応義塾大学教授]

すずき・かん/元文部科学副大臣、参議院議員。1964年生まれ。東京大学法学部卒業後、86年通産省入省。2001年参議院議員初当選(東京都)。民主党政権では文部科学副大臣を2期務めるなど、教育、医療、スポーツ・文化を中心に活動。党憲法調査会事務局長、参議院憲法審査会幹事などを歴任。13年7月の参院選で落選。同年11月、民主党離党。14年から国立・私立大の正規教員を兼任するクロス・アポイントメント第1号として東京大学、慶応義塾大学の教授に就任。同年、日本サッカー協会理事。15年2月から文部科学大臣補佐官として大学入試改革などを担当している。


鈴木寛「混沌社会を生き抜くためのインテリジェンス」

インテリジェンスとは「国家安全保障にとって重要な、ある種のインフォメーションから、要求、収集、分析というプロセスを経て生産され、政策決定者に提供されるプロダクト」と定義されています。いまの日本社会を漫然と過ごしていると、マスメディアから流される情報の濁流に流されていってしまいます。本連載では既存のマスメディアが流す論点とは違う、鈴木寛氏独自の視点で考察された情報をお届けします。

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