「ポスト戦後」への
人づくりへ勝負の年

 鈴木寛です。あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。

 2015年は「節目」を意識し続けるものになるでしょう。まずは戦後70年。かの大戦を生き抜いてこられた世代の方々、とりわけ戦時中に大人だった方々は終戦当時20~30歳とすると、今年は90~100歳になります。軍人・軍属として最前線に臨み、あるいは空襲や原爆に見舞われる中で、我が子の手を取って一命を取り留めた方々の肉声をお聴きすることは、子どもの頃に戦争を体験された方々と違う意義があります。

 社会の一員として時代の困難に向き合った苦渋や葛藤があり、あるいは当時の意思決定層にあたる父親世代や上司の言動を傍らで見届けてきた体験を改めて若い世代に伝えていかねばなりません。ジャーナリストの堀潤さんが進めているアーカイブス化の取り組み等は大手メディアこそしっかりやっていただきたいと思いますが、「戦後70年」は、また機会を改めて書きたいと思います。

「節目」といえば、今年は阪神淡路大震災とオウム真理教事件からも20年が経ちます。その年、1995年は「戦後史の転機」と位置付けられる一方、ウィンドウズ95の発売で本格的なインターネット時代が到来するなど、「ポスト戦後」の社会的パラダイムを私たちが試行錯誤する起点となりました。

 そこから20年経ってもまだポスト戦後の全容は見えてきませんが、過渡期=不確実性の時代をまずどう生き抜くかが問われます。

 既成概念が崩れ、ビジネスの日常にある種の「定型」が崩れたときに、どう思考を巡らせ、立ちまわることができるか。教育をライフワークにする私としては今年、新しい時代に対応した人づくりに向けた、重要な布石を置く勝負時だと思っています。その第一弾が大学入試制度改革です。