ボルテージ社内で毎週開催される「提案会」の様子 (写真提供:ボルテージ)

 2006年に女性向けの携帯恋愛ゲーム第1弾をリリースしたのを皮切りに、同ジャンルにおいてヒット作を連発し、累計2600万人の女性の胸をキュンとさせたボルテージ。同社を興したのは、映画をこよなく愛してきた津谷祐司代表取締役会長だ。

 米国のUCLA映画学部大学院監督コースへの留学を経て、新卒以来勤めてきた博報堂を退職して1999年9月に創業。当初は試行錯誤を繰り返したが、女性向け恋愛ゲームに特化した後は瞬く間に年商100億円を稼ぎ出す企業へと成長し、2011年には東証1部市場への上場も果たした。

 この大躍進の背景には、経験値ゼロの新入社員であってもヒット確実の恋愛ゲームを作り出せる「フォーマット(仕組み)」を構築したことがある――。その点についてフォーカスを当てたのが前回の内容だった。

 だが、要因はそればかりではない。若手社員の課題解決スキルと実行リーダーシップを身につける実践トレーニング、「提案会」を導入したことも、同社が「テクノロジー Fast50」を8年連続受賞するほどの飛躍を遂げた原動力の1つとなっているのだ。

週に一度のプレゼンが
躍進を支える社員力を鍛える

 週に一度、ボルテージの社員たちは緊張の1日を迎える。他社のそれらとは明らかに一線を画す提案会(発表の場)が開催されるからだ。毎週、若手スタッフが50人(新卒から30才前後のチームリーダークラスまで)と、マネジャー数人が参加している。

 簡単に言えば、これは社員たちに自分が手掛けているコンテンツの改善アイデアを発表してもらう場だ。若手スタッフが担当コンテンツの「課題解決プラン」や「実施した結果」についてA4用紙1枚の資料を作っておき、1人90秒でスクリーン横に立って発表する。

 全員の発表が終わると、マネジャー側がコメントし、最後は参加者それぞれがよかったと思う発表に挙手し、累計での高得点者には四半期ごとにおいて賞金が授与される。起業3年目のまだ赤字続きだった頃から開催し続けており、現在は部門ごとに4つの会に分かれているが、当初は全社でいっせいに実施していた。