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シリーズ・日本のアジェンダ 崖っぷち「人口減少日本」の処方箋

未曽有の人口減少がもたらす
経済、年金、財政、インフラの「Xデー」(下)

――松谷明彦・政策研究大学院大学名誉教授

ダイヤモンド・オンライン編集部
【第2回】 2015年4月8日
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>>(上)より続く

世界中から人材を集める欧米と
国内での技術開発にこだわる日本

 それでは、人口減少によって起こり得るこうしたリスクに対して、我々はどんな施策を考えればいいのか。まずは、経済を衰退させないため成長の方策について考えましょう。

 人口減少による労働力の減少を、女性・高齢者などの余剰労働力や外国人労働力などで補填すれば、経済成長が確保できて経済は衰退しない、というのが政府の考えです。確かに、そうすれば生産能力は維持できます。しかし、それだけでは経済成長は望めません。つくった製品が売れなければなりません。そして、すでに日本の製品は世界市場でどんどん売れなくなっているのです。政府の成長戦略は、絵に描いた餅というわけです。

 原因は新興国・途上国の台頭です。彼らは、日本と同じビジネスモデル、すなわち欧米先進国が開発した製品ををロボットを使って大量に安くつくるというモデルで、世界市場に価格破壊をもたらしました。なにしろ賃金水準が10分の1程度以下なのだから、日本製品が価格競争で勝てるわけがありません。

 では、欧米先進国はどうか。彼らのビジネスモデルは、自分たちで開発した製品を適量つくって高く売るというものです。当然、新興国・途上国との価格競争はありません。

 日本も早く先進国モデルに転換すべきですが、もしそうなれば日本製品は今より高く売れるし、特許料や大量のロボットなどのコストも不要なので、余剰労働力や外国人労働力を使わなくても、少なくなった労働力で十分な付加価値、すなわちGDPを確保することができます。

 しかし、先進国モデルへの転換は、世界第一級の製品開発力があって初めて可能になること、そしてそれを日本人だけの努力で達成することは不可能であることを忘れてはなりません。現在先進国間で進行中の製品開発競争は、実は人材獲得競争なのです。世界中から優秀な人材を集め得た国や企業が勝ち組となる世界です。そこにはもはや国境はありません。

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シリーズ・日本のアジェンダ 崖っぷち「人口減少日本」の処方箋

「日本で人口減少が始まった」と言われて久しい。先の国勢調査によると、足もとの日本の人口は約1億2806万人。国立社会保障・人口問題研究所の中位推計によると、この数が2030年に1億1522万人、さらに2060年には8674万人まで減ると予測されている。人口は国の国力を推し量る上で最も重要な指標だけに、今の日本の状況はまさに「崖っぷち」と言える。世間では、少子化、高齢化などの現象について、様々な角度から分析が行われている。しかし、全ての国民が人口減少について、正しく理解しているわけではない。なぜ人口減少が起きるのか。その真のリスクとは何なのか。我々が直面する近未来の「途方もない変化」についてリサーチする。

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