日本の人口は今、何人くらいか、君は知っているかな。2010年の国勢調査を見てみるとだいたい1億2806万人。でも、この人口はこれからどんどん減ってしまうんだって。
国立社会保障・人口問題研究所では、将来の人口について3つの見方で予測を立てている。このうち、「中位推計」――出生や死亡の見込みが中程度と仮定した場合の予測――を見てみると、2030年には1億1522万人、さらに2060年には8674万人となっている。これは、第二次世界大戦直後の人口とほぼ同じ規模だ。
どんどん人口が減り、縮んでいく日本の社会。いったい私たちの行く手には何が待ち受けているんだろう?
――この連載では、高齢になった未来の私たちのため、そしてこれからの時代を担うことになる子どもたちのために、日本の将来をいろいろな角度から考察していきます。子どものいる読者の方もそうでない方も、ぜひ一緒に考えてみてください。
老朽化した橋を見て見ぬふり!?
ジリ貧市町村で“危険地帯”急増
――橋がボロボロになっているのは誰もが知っている。でも、そのことを口にする者は誰一人いない。
今、あちこちの地方都市でおかしな現象が起きている。古くなった橋がたくさんあるのに、誰も修繕しようとしないんだ。
役所の人たちは、そんな橋や道路などまるでないかのような顔をしている。だって、「あの橋そろそろ危ないね」なんて誰かが言い出そうものなら、すぐ補修工事をしなきゃならないからね。そうなると予算が必要だし、手間も時間もかけなきゃならない。
もちろん、みんなが渡る橋をボロボロなまま放置しておいたら大問題だ。大事故が起き、たくさんの犠牲者が出るかもしれない。でも、橋の向こう側に住んでいる人がほとんどいなかったなら……。そんな橋を直すだけのゆとりがない「ジリ貧市町村」だったなら……。
人口減少が進み、自治体がジリ貧状態になれば、古くなった危ない橋があちこちに増えてしまう。橋だけじゃない。道路も水道も公立病院も、老朽化しっぱなし。このままだと安心して暮らせない市町村が全国あちこちに生まれても不思議はない。