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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

高齢者を地方移住させる前に、やるべきことがある

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第16回】 2015年6月11日
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 日本が直面する大きな問題が、増大する介護需要への対処であることは言うまでもない。最近これに関して興味あるニュースが2つあった。一つは、首都圏では介護施設が不足するため、高齢者の地方移住を進めるべきだとの提言。いま一つは、「空家等対策の推進に関する特別措置法」の全面施行が始まったとの報道である。

 これらは、「ミスマッチ」の解消で、どちらの問題も改善できる可能性を示している。しかし、高齢者の地方移住は簡単にできるものではない。移住よりも先に、考えるべきことはないだろうか。

日本経済に存在する
重大なミスマッチ

 日本創成会議は、6月4日、東京など1都3県で高齢化が進行し、介護施設が2025年に13万人分不足するとの推計結果をまとめた(「東京圏高齢化危機回避戦略」)。そして、高齢者の地方移住を進めるべきだとした。

 一方、放置された空き家の撤去や活用を進める「空家等対策の推進に関する特別措置法」が5月26日、全面施行された。

 これらは、日本が抱えている問題を象徴している。

 一方で足りない(あるいは、将来足りなくなる)ものがあり、他方で余っているものがある。したがって、これら2つを、何らかの方法で結び付けることができれば、問題のすべてとはいわなくても、かなりの部分が解決できるのだ。つまり、日本全体として見れば、これらは、解決できない問題ではない。

 それにもかかわらずできないのは、需給のミスマッチが生じているからである。足りないものと余っているものをマッチングするのは市場の基本的機能であるが、それが何らかの理由で実現できないのだ。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカが金融緩和を終了し、日欧は金融緩和を進める。こうした逆方向の金融政策が、いつまで続くのだろうか? それは何をもたらすか? その先にある新しい経済秩序はどのようなものか? 円安がさらに進むと、所得分配の歪みはさらに拡大することにならないか? 他方で、日本の産業構造の改革は遅々として進まない。新しい経済秩序を実現するには、何が必要か?

「野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて」

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