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システム科学&八千代工業

最少人数で最強の組織をつくり
経営危機を乗り越える

著者・コラム紹介
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自動車用部品の開発と製造、完成車事業などを柱とする八千代工業が、HIT法への取り組みを継続することで組織体質を強化している。リーマンショック後の経営危機を乗り越えるための原動力にもなった。「最少の人数で最強の組織づくり」を可能にするHIT法とITが連動したBPR(business process renovation)の普及にも乗り出した。

800人の管理部門が、
5年間で42万3857時間を節減

 「国内拠点の管理部門800人で、5年間で42万3837時間を節減」「従業員250人規模の中国現法、同じく350人規模のタイ現法のいずれでも2000万円の費用でERP(Enterprise Resource Planning)・統合業務パッケージの導入に成功する」。

 「ウソでしょ」という声が聞こえてきそうな業務改善効果は、八千代工業が紛れもなく叩きだしてきた成果である。国内拠点における従業員1人当たりの単純節減時間は529時間。1日8時間勤務として66日分に相当する。言葉を換えれば、他社の管理部門では12ヵ月かかってこなす業務を、八千代工業では10ヵ月でできているのだ。

 その原動力となっているのがシステム科学の指導のもとに継続されている「HIT」法への取り組みである。HIT法とは、Human resources & Intelligence Techonogyの略で、業務プロセスを可視化し、改善手法を編み出す手法だ。

ホンダが19年ぶりに発売した軽スポーツカー、S660が生まれる八千代工業の四日市製作所

 八千代工業は、自動車部品の開発・製造と完成車事業(クルマを組み立てる事業)を2本柱とするホンダの子会社。自動車部品事業では樹脂製燃料タンクやサンルーフをグローバルに販売し、完成車事業では最近、ホンダが19年ぶりに発売した軽自動車のオープンカー「S660」の生産を一手に担っている。

 かつて完成車事業は、リーマンショックによるホンダの生産戦略見直しにより、生産量が大幅に減少し、八千代工業は2012年には全従業員の3分の1の早期退職を余儀なくされた。この深刻な危機に臨み、全職場、特に管理部門での業務改善が喫緊の課題となった。

八千代工業常務取締役管理本部長・太田康氏

 一方、2代前の加藤正彰社長は、本田技術研究所社長時代から管理部門の業務改善策を模索しており、09年の八千代工業社長就任以来、「ヤチヨの規模であれば、小回りが利き、改善成果を追求できるのではないか」と具体的な手法を探し求めていた。そして出会ったのがHIT法であり、HIT法指導のための専門部署を立ち上げ、10年から本格的な取り組みを始めた。

 「ホンダの戦略変更により完成車事業の仕事量が大幅に減少することが想定され、そうした中で加藤社長は、業務改善を進め、一歩先に出た経営体質に変えたいと腹を括られていた」と太田康・常務取締役管理本部長は振り返る。

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