市場が拡大しているシステム建築業界を独自の技術でけん引する横河システム建築。日本で唯一システム建築の専用工場を持ち、独自のビルダーネットワーク販売で地方の中小規模の案件に強みを発揮する。
取締役 営業本部長
当社の主要な顧客層は、首都圏の大手企業ではなく、日本の製造業や流通業を実質的に支えている地方の中小企業。その建物を建てる地元の建設会社を徹底的にサポートすることで、事業主さまと建設会社の双方を支援する仕組みを提供していきたいと考えています」
そう語るのは、髙柳隆・営業本部長だ。一定規模以下の案件は受けない、というシステム建築の企業もある中で、同社では大型物件よりも、地方に多数存在し、市場の約7割を占めるといわれる800平方メートル(250坪)前後からの中小規模の案件を、迅速かつ丁寧に受注していくことに重点を置いている。
専用工場とビルダー制度
で迅速な対応を実現
同社は横河ブリッジホールディングスグループの一員で、グループ中核企業である横河ブリッジのシステム建築事業部として発足し、2002年に独立した。橋梁をはじめとする大型鋼構造物を手掛ける横河ブリッジを前身とするだけに、その技術力には定評がある。ブランド名は「yess建築(Yokogawa Engineered Structure System /イエス建築)」で、開業以来の受注棟数は約7000棟に及ぶ。
特長は、まず国内で唯一のシステム建築専用工場(千葉県袖ヶ浦市)を保有していること。そのメリットは、品質はもちろんのこと、スピードとコスト面にある。工程に応じた生産調整ができる他、材料を大量にストックできるため、材料手配の時間が短縮でき、価格変動のリスクを抑制できるのだ。
また、見積もりから構造設計、生産データまでのソフトを徹底的に磨き上げ、低価格と短工期を実現している。建物一式の積算見積もりを短期間で作成でき、構造計算書を10日ほどで作成できる体制が整っている。
だが何といっても一番の強みは、全国732社から成るビルダー(販売施工代理店)ネットワークによるきめ細かい対応だろう。
「当社には、開業当初から直販部隊や元請け部隊はありません。事業主さまから建物の建築を請け負うのは、あくまでも地元のニーズを熟知し、地元に根付いたビルダーです。そのビルダーに向けて、メーカーとしてきめ細やかなサポートとサービスを提供することを営業戦略の基本としています」と髙柳本部長は強調する。
今、地方の建設会社は世代交代が進み、これまでの地元の経営者同士のつながりやパイプだけではビジネスができない状況になっている。そうした環境の中で他社との差別化を図ろうとして、経営者は苦労している。同社ではその悩みを解決するために、徹底的なサポートを提供しているのだ。