いま、とれる対策はあるか?

坪井 いま私たちがとれる対応策は何だとお考えでしょうか。

広瀬 それをずっと考えているのですが、きわめて難しい問題です。個人的にはいま、「水が一番怖い」と思っています。
 福島県の阿武隈山地や群馬県・栃木県に大量に降り積もった放射性物質が、分水嶺を越えて日本海側の多くの河川を通じて流れ出ています。
 秋山豊寛さん(宇宙飛行士、元TBS記者・ワシントン支局長、現在京都造形芸術大学芸術学部教授)も福島県で自然農法に従事していましたが、原発事故後は京都に避難して大学で教鞭をとられています。
 まずは放射能が降り積もったところから逃げるしかないのが現状で、それには国が最大の、全面的な資金援助をするべきです。金が与えられないから、多くの人は逃げられないのです。

坪井 私はこう考えます。少なくとも「汚染状況重点調査地域」(8県101市町村)に指定されている地域に住む私たちもDNAが損傷した確率が上がっているわけですから、ガンなどを早期発見する確率を上げることが対応策だと思います。
 年に一度の健康診断は必ず受ける、再検査の指示があればさぼらない、心配なら年に2回検査する、という方法で早期発見率を上昇させることです。

日本最大の活断層の上に立つ
川内原発再稼働の恐怖

坪井 さて、川内原発が8月11日に再稼働されました。

広瀬 詳しくは本連載第1回第2回第5回で書いてきたので、それを見てください。私も再稼働当日、川内原発に乗り込みましたが、それはそれはひどいものでした。
 1984年7月の稼働以来今年で31年。原子炉の耐用年数はとっくにすぎています。

 本連載でも指摘したとおり、原子炉の古さだけでなく、この原発の下には日本を縦断する最大の活断層=中央構造線が走っています。
 活発な地震と火山噴火期に入った日本列島で再稼働は狂気の沙汰といえます。
 みなさんよく考えてみてください。この2年間、原発に1ワットも頼らずに、この猛暑を乗り切っています。
 これだけ危険な地域に耐用年数をすぎた原発があること自体危ないのに、それを再稼働第一号とする安倍晋三の頭の中はどうなっているのでしょうか。