『原子炉時限爆弾』で、福島第一原発事故を半年前に予言した、ノンフィクション作家の広瀬隆氏。
このたび、壮大な史実とデータで暴かれる戦後70年の不都合な真実を描いた『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』が大反響となり、第4刷が決まった。
8月末に予定されている大手書店講演会も即満員御礼になったという。
なぜ、今、この本が注目されているのか?
新著で「タイムリミットはあと1年しかない」と、身の毛もよだつ予言をした著者が、驚くべき電力最新事情と安倍晋三内閣総理大臣への質問状を紹介する。
1943年生まれ。早稲田大学理工学部卒。公刊された数々の資料、図書館データをもとに、世界中の地下人脈を紡ぎ、系図的で衝撃な事実を提供し続ける。メーカーの技術者、医学書の翻訳者を経てノンフィクション作家に。『東京に原発を!』『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』『クラウゼヴィッツの暗号文』『億万長者はハリウッドを殺す』『危険な話』『赤い楯――ロスチャイルドの謎』『私物国家』『アメリカの経済支配者たち』『アメリカの巨大軍需産業』『世界石油戦争』『世界金融戦争』『アメリカの保守本流』『資本主義崩壊の首謀者たち』『原子炉時限爆弾』『福島原発メルトダウン』などベストセラー多数。
「再稼働反対57%」なのに、
なぜ再稼働するのか?
改めて言っておきたい。
そもそも安倍晋三が原発を再稼働すると決断したのは、昨年、2014年2月25日に、政府がエネルギー基本計画を決定し、そこに「原発を重要なベースロード電源と位置づける」とし、この時点で運転ゼロとなっている原発の「再稼働」を推進すると明記したことから始まったことである。
現在の日本の報道では、衆議院で強行採決された安全保障関連法案に対する怒りの反対世論だけがクローズアップされているが、安倍晋三に対する「不支持51%」(共同通信・毎日新聞の世論調査)より、「原発再稼働反対57%」(同日の共同通信世論調査)の数字のほうが大きいのである。
勿論、いずれも重大な問題であり、この「戦争」と「原発」の両方に、安倍晋三個人がなぜ固執してファシズム政治をおこなっているかという歴史的な謎を解いたのが、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』である。
日本政府が、国民世論の圧倒的な再稼働反対の声を無視している事実を、放置していいはずがない。
政府がエネルギー基本計画で使った言葉「ベースロード電源」とは、左の図の一番下(黒い部分)のように、一日中ずっと運転し続ける電源という意味である。
これを、「消費者の電力需要の激しい変化に追随できない原発」に任せよう、という政策である。
そして、昼過ぎにピークに達する変化する分は、火力と水力を調整しながら電力を供給しようという。
驚くべき無知である。
何度も言うが、日本は世界最大の地震国である。
左の世界地図に見られる通り、アメリカ・ヨーロッパ・ロシアにも「赤点」で示される原発は多数あるが、「黒点」で示される中規模以上の地震発生地点には、アメリカ西海岸を除いて、原発がまったくない。
つまり発電用の原子炉を開発した人間たちは、「地震のない国」だったのである。したがって、それを欧米から輸入した日本と台湾は、黒点の上に、赤点を乗せた、トテツモナイ危険な国家になったわけである。