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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

世界連鎖株安と米国利上げで
「景気後退」の予感は強まる

熊野英生・第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]
【第183回】 2015年9月2日
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米利上げの未体験ゾーンに突入
世界連鎖株安は短期間で終息しない?

2015年10月前後には、日銀が追加緩和に打って出る可能性も

 中国発の世界連鎖株安が、ごく短期間で終息するとは思わない方がよい。米利上げの未体験ゾーンに突入するのは今からである。いよいよ9月以降が要警戒の時期になる。

 米株式市場が、長いゼロ金利期間を抜けて、短期金利水準を引き上げても、そのショックに経済成長が脅かされないと、完全に織り込むにはまだ時間がかかると考えておくべきだろう。だから、少なくとも数ヵ月間、日米株式市場は大きな変動幅に悩まされるに違いない。

 さて、本稿で説明しておきたいのは、ファンダメンタルズである。株価下落が起こった直後、政府などからは、必ず「ファンダメンタルズは良好なのだから慌てる必要はない」と説明される。

 しかし、そこで例示されるファンダメンタルズとは、往々にして過去の話である。だから、株価下落の背後にあるメカニズムを読み解いて、先々のファンダメンタルズがどう変化するかを、熟慮しなくてはいけない。

 今後、悪化が進むのは中国経済である。貿易取引は停滞し、日本の生産活動は悪化するだろう。経済産業省「鉱工業生産指数」は、2015年1月をピークに、年内は水準を切り下げていく可能性がある(図表1参照)。他の非製造業の活動指数も、おおむね2015年初を境に悪化する動きが確認できる(図表2参照)。そうなると、事後的に2015年中は景気後退期だったという判定になるだろう。

出所:経済産業省
出所:経済産業省
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熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

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