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金融市場異論百出

目下のところ意外にも盤石
支配的地位にあるドルの行方

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2010年4月7日
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 ドルは基軸通貨の地位からいつ滑り落ちるのか? この設問は金融市場でしばしば話題になる。しかし、今のところ、ドルの国際的地位は意外に揺らいでいない。

 ニューヨーク連銀のスタッフが最近発表した論文(「Is the international role of the dollar changing?」)を参考に、ポイントを記してみよう。

 米国外で安全資産としてドル紙幣を保有している人びとがいる。昨年3月末時点では、5800億ドルものドル札が海外に存在していた。特にロシアや中南米で多い。全ドル紙幣発行残高に占める海外流通分は65%である。その比率はこの20年間だいたい横ばいだ。

 一時期は安全資産としてのユーロ紙幣の人気が高くなり、ドル紙幣への海外からの追加需要は頭打ちになっていた。しかし、トレンドとして減少するまでには至っていない。100ドル札は、小額紙幣よりもかさばらないため資産退蔵手段として使われやすいが、その海外保有比率はなんと75%だ。

 ドルへのペッキング(釘付け)など、自国通貨をドルにリンクさせている国の比率は、1995年は47%だったが、2007年は50%である(08年のラインハート、ロゴフ論文)。現時点でもほとんど変わっていないだろう。ドルとのリンクをはずしたがらない発展途上国は依然として多い。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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