日本で、日本製の自動二輪(オートバイ)が売れない。

 社団法人・日本自動車工業会のデータベースによると、ホンダ、スズキ、ヤマハ発動機、川崎重工業その他を含めた2009年1月~12月の販売・出荷統計は38万777台。これは同2008年1月~12月の52万2315台に比べ27%減である。また1982年にピークだった329万台と比べると、実に9の1にまで激減していることが分かる。

 また、保有台数で見ると、ピーク時の1986年の1867台から緩やかに減少を続け、2008年には1278万台となり、1986年比で32%減となった。

第37回東京モーターサイクルショー会場内の様子

 つまり日本では、新車は少なく、各年式の中古車が溢れている状態だ。そうした事情から最近、自動二輪買取り・流通業「バイク王」のテレビCMの放映回数が増えるなど、中古流通が盛んになってきている。

 また、日系各社の生産台数をみると、2009年1月~12月の64万4901台は、2008年1月~12月の122万68839台比で47%減と、上記の販売台数の減少を大きく上回る驚異的な落ち込みとなっている。メーカー別ではホンダが42%減、スズキが54%減、ヤマハが53%減、川崎が36%減という大変化だ。

 こうした自動二輪・日本市場の緊急事態はなぜ起こったのか?

 筆者の考えでは、理由は大きく3つある。①主婦層、若者層のオートバイ離れ、②海外メーカーの高級志向に対抗して国産品の値段を上げたことに伴う顧客離れ、③アジア太平洋州のFTA(自由貿易協定)の影響、である。

 順を追ってこれら3項目の詳細を説明する。