私事ですが、病気を患いこの2月に入院し、手術をしました。
すぐに生死に関わる病気ではないとはいえ、手術までの待機期間はなんと1年。術前治療の副作用で日に日に弱る心身を誤魔化しつつ、待ち続けました。
ところで、手術から退院までは異様にスピーディでした。まだ痛む腹を抱えながら、手術後1週間で退院とあいなりました。自らの病巣が切除される模様を実況中継ばりに伝えた手術写真集をもらうなど、インフォームド・コンセントはバッチリでした。
でも、やっぱり釈然としません。「医師不足」「ベッドの稼働率アップ」「非急性期患者のケア体制の不備」などなど、ニュースでよく見るキーワードをぶつぶつつぶやきながら職場復帰した次第です。
政府は医療・介護を含む健康産業を、環境・観光などと並ぶ成長産業として位置づけました。その市場規模は、周辺産業も含め推定50兆円。自動車産業とほぼ同じ規模です。
ところが、実はこの業界はこれまで「産業」ではありませんでした。そもそも医療介護でおカネを稼ぐこと自体がタブー視されてきたからです。また、保険制度で守られ、行政の規制に左右され易い業界ゆえ、他産業で当たり前とされる「顧客満足」「効率性」「競争原理」などといった当たり前の概念も欠落していました。
財政健全化が優先され、医療・介護予算が削減される一方だったここ数年間の流れが、「成長産業」と明言されたことで大きく変わったことは間違いないでしょう。だけど、本当の意味で「産業」にするためには何が必要なのか?それを問い直すのが本特集です。
「経済誌の面目躍如」とばかり、54ページに渡って徹頭徹尾医療・介護を“産業”としてあらゆる角度から詳細に分析しました。
「医療編」では、4月の「診療報酬改定」が病院経営にもたらすインパクトの分析と共に、病院経営の先進的な事例もご紹介します。さらに、主力製品の特許切れに悩む製薬業界やバイオベンチャーの現状、日本メーカーが活躍する医療機器業界の課題、小売業再編の核となりつつある薬局チェーンの動きなども取材しました。
「介護編」では、介護保険制度開始10年で2.3倍に膨らんだ市場の今を詳らかにします。流行が曲がり角を迎えた高齢者専用賃貸住宅事業レポートや、介護現場の現場担当者が業界の現状を語り尽くした「覆面座談会」も必見です。
この業界に興味がわいたら、「就学・就職編」へどうぞ。主要30の関連資格・職種の取得方法とコスト、年収、仕事のニーズをデータベース化しました。さらに現場で活躍する医療者・介護者の仕事の現場への密着ルポも敢行しました。
さらに、医療・介護関連企業への投資をお考えの方向けに、万全の「投資ガイド」も付いています。
特集スタッフ6名、もう少しで全員が病院のお世話になる寸前(!)になるまで全力で取材してきました。どうぞお手にとってご覧ください!
(『週刊ダイヤモンド』編集部 鈴木洋子)