マイナス金利は、投資を増大させるために導入したものとされる。しかし、実際には、インフレ率が下落したため、やむをえず導入せざるをえなかったのだ。
インフレターゲットやマイナス金利は、もともと多くの問題を抱えている。最も大きな問題は、実質収益率がマイナスである投資も正当化し、経済の縮小均衡を加速させることである。
インフレターゲットの考え方と
日銀がマイナス金利を導入した理由
マイナス金利を導入した日本銀行の意図は、次のようなものであろう。
名目金利をマイナスにすることによって内外金利差を拡大して円安を導く。それによって物価上昇率を高める。
ところで、企業が投資を正当化できる条件は、後で説明するように、実質収益率+製品価格の期待上昇率が、名目金利を上回ることである。
したがって、製品価格と物価一般を同一視すれば、名目金利-期待インフレ率を低下させれば、投資が増えることになる。
つまり、名目金利が低下しても期待インフレ率が上がっても、実質収益率が低い投資も正当化されることになり、採択できる投資は増える。
この考えにおいては、デフレ下では、作ったものが値下がりしてしまうので企業は投資をしない。それに対してインフレ下では、作ったものの値段が上がっていくので投資をする、とされる。
これがインフレターゲットの考えだ。
この考えには後で述べるように大きな問題があるのだが、しかし、現実には、そうなる前に問題が生じている。
物価上昇率が低下したのだ。そのため、投資が縮小しないように名目金利を下げざるをえなくなってきたのである。