法人企業統計の結果から、景気の厳しさが増している姿が浮かび上がる

 3月1日、財務省は10~12月期の『法人企業統計』を発表した。本統計は財務指標に基づいて、マクロ的に企業行動を把握する際、非常に有用となる。以下では、本統計に含まれる売上高、経常利益、損益分岐点を材料として、「日本株式会社」の動きを見ていこう。結論として、景気の厳しさが増している姿が浮かび上がる。

 なお、法人企業統計は、国内に本店を有する法人企業を単体ベースで調査している。従って、連結対象であっても海外の現地法人(子会社、関連法人)は調査対象に含まれない。つまり本統計は、主に国内での活動および輸出入に基づく企業財務を映し出す。

景気回復の持続性を左右する
売上高はこの20年伸びていない

 売上高から見ていこう。10~12月期の売上高は前年比-2.7%(製造業-1.4%、非製造業-3.2%)と、3四半期ぶりに前年水準を下回った(図表1)。

◆図表1:明確に鈍化する売上高

出所:財務省『法人企業統計』よりバークレイズ証券作成

 前年比で比較対象となる2014年は4月に消費税率が引き上げられた結果、同年4~6月期や7~9月期に消費が落ち込んだ。その結果、2015年7~9月期までは、売上高の前年比変化率はプラスに出やすかった。

 消費増税の影響が剥落して、売上高の前年比が実力ベースで評価できるようになったのは、今回発表された10~12月期からである。その出だしとなる10~12月期の売上高が前年比マイナスとなったということは、「日本株式会社」の売上高がいかに伸び悩んでいるかを鮮明に物語る。