日本人の平均寿命83歳。60歳定年から平均で23年もあるのをご存じだろうか。消費税増税、社会保険の負担増、教育費の高騰などで貯金が少ない40代、50代。この世代こそ、老後のお金の現状を知って対策を講じなければ、悲惨な老後になってしまう。

ダイヤモンド・オンラインでも人気の連載「40代から備えたい 老後のお金クライシス」を書いている深田晶恵さんが、『定年までにやるべき「お金」のこと』という本を上梓。この内容をベースに、お金に不安がある人たちに役立つコンテンツを紹介していく。

手取り減少、消費税増税、教育費高騰……
“下流予備軍”が増えるこれだけの理由

 老後の生活に対して不安を抱く人が増え続けている。現役時代にはそこそこ稼いでおり、それなりの生活ができていた人が、老後になった途端に経済的に厳しい生活を送るようになってしまう人たちが報道やノンフィクション本で取り上げられる機会が増えているからだろう。

 年収が高くても、年金生活になり、「今お金に困っている」「病気の治療費さえ手元にない」といった人たちの事例を知り「自分もそうなったらどうしよう」と不安に感じる。

 一体なぜ、“下流予備軍”が増えているのか? 家計相談を受けていて感じるのは、10年ほど前と比べると、同じ世代でも貯蓄額が顕著に減っていることだ。

 10年前の40代〜50代と今のこの世代では、勤務先が同じで役職も同等なケースでも、貯蓄額に大きな差がついてしまっている。

 背景には、いくつかの要因がある。一つは、手取り年収の減少だ。厚生年金保険料や健康保険料、介護保険料などの社会保険料は増加傾向にあり、配偶者特別控除の一部廃止、年少扶養控除廃止などにより所得税や住民税も負担が増している。

 つまり額面年収が同じなら、給与から差し引かれる社会保険料や税金が右肩上がりに増えている分、手取り収入はどんどん少なくなっているわけだ。

 加えて、近年は消費税増税の影響も大きい。2014年4月に消費税率は5%から8%に引き上げられた。2017年4月には、再度、8%から10%への引上げが予定されている。これらは数字をみても明らかである。