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年金では暮らせない“下流老人”を苦しめる格差の実態

藤森克彦・みずほ情報総研主席研究員に聞く

ダイヤモンド・オンライン編集部
2015年9月2日
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世代間格差が大きく、「若者が老人に搾取されている」と言われる日本だが、実は先進国間で比較をすると高齢者の貧困率が高く、「優雅な老後」とはほど遠い。なぜこのような事態になっているのか、藤森克彦・みずほ情報総研主席研究員に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部 津本朋子)

34ヵ国中8番目!
実は高い日本の高齢者貧困率

――現在の日本の高齢者たちは、「優雅に暮らしている」と思われ、年金の世代間格差の議論では「老人が若者から搾取をしている構図」だと言われます。一方で最近、“下流老人”という言葉が流行っており、高齢者の貧困問題がクローズアップされています。日本の高齢者の実態をどう見ておられますか?

 OECD34ヵ国を調査したデータ(2010年時点)では、日本の高齢者(65歳以上)の貧困率は19.4%でした。これは米国(19.9%)とほぼ同レベルで、34ヵ国中8番目に高い水準です。ちなみに、イタリアは11%、ドイツは10.5%。英国やスウェーデン、カナダなどは10%を切っています。

ふじもり・かつひこ
1992年、国際基督教大学大学院行政学研究科修了、同年富士総合研究所入社。1996年から2000年まで英国・ロンドン事務所駐在。2000年4月に調査研究部社会保障統括。現在、社会保障(年金・医療・介護・少子化対策など)、雇用政策などを専門分野としている。主な著書に「単身急増社会の衝撃」、「構造改革ブレア流」など。

 貧困率をはじき出す上で前提となる「低所得者(貧困者)」の定義とは、世帯の合計可処分所得を世帯人数で調整した、「1人当たり可処分所得」を割り出し、その中央値の半分(貧困ライン)以下で生活する人々のことです。

 ちなみに厚生労働省「国民生活基礎調査」によれば、2012年の貧困ラインは122万円(名目値)でした。日本の高齢者の約5人に1人が貧困ライン以下の所得で生活しており、こうした人々が低所得者、つまり貧困者なのです。

 もちろん、この基準にも異論はあります。まず、「子育てをしている若い世代と比べると、高齢者はあまり支出をしないはず」というもの。つまり、所得が少なくても、若い世代よりは暮らしが苦しくないはずだという考え方です。また、この調査方法では貯蓄、つまりストックを見ていません。

 ただ、ほかの統計調査を見ると、フローの少ない人は、概してストックも少ないという傾向はあります。特に低所得者層ではそうです。こうした異論はあるものの、一般に国際比較で採用されているのが、この基準なのです。

 さらに高齢者の貧困を細かく見ていくと、1人暮らしの高齢者で貧困率が高くなっています。12年のデータでは、男性の単身高齢者の貧困率は29.3%、女性の単身高齢者は44.6%です(阿部彩〈2014〉「相対的貧困率の動向:2006、2009、2012年」貧困統計ホームページ)。

 なぜ1人暮らしの高齢者に貧困が多いのか。女性に関しては、現役時代に就労していなかったり、就労していても非正規という人が多いことが一因です。年金額は、現役時代の所得や働く期間を反映するためです。結婚していれば、配偶者の年金も合わせて生活していけますが、未婚や離婚した女性で現役時代に低所得であった方が1人きりのまま老後を迎えると、貧困に陥るケースが考えられます。

 男性の場合は、女性に比べれば収入の高い人が多いことが考えられますが、単身世帯に関して言えば、病気その他の事情があったり、非正規就労などで収入が安定しないなど、様々な事情を抱える方が一定程度おられるように思います。

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