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生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

低所得層ほど「住まい難民」になりやすい被災地の現実

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【第48回】 2016年5月6日
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熊本地震から3週間。余震の続く中で、支援体制の整備・被災者の生活再建への取り組みが少しずつ進んでいる。高齢者・障害者などの災害弱者、特に貧困状態にある災害弱者の「住」は、これからどうなるのだろうか?

熊本地震から3週間
見えてきた深刻な住宅不足

熊本地震を受け、仮設住宅の建設が始まっているが、本当にこれで深刻な住宅不足の解消につながるのか

 2016年4月14日夜、熊本県熊本地域を襲った最大震度7の地震以後、熊本県・大分県は引き続き地震に襲われ続けている。震度5弱・5強・6弱・6強・7だけで18回、震度1以上の体感地震の合計は1200回を越えている。本原稿の執筆中にも「震度4」という報道があり、気象庁は「熊本県や大分県では今後も当分の間は最大で震度6弱程度の激しい揺れを伴う地震に警戒を」と呼びかけている(NHKニュース「熊本地震 震度1以上 1200回超える 引き続き警戒を」)。何にどう「警戒」すればよいのだろうか? 「とりあえず、避難所にいる」を含め、ある程度は安全といえる場所で生活することは、「警戒」の一つだ。

 その熊本県では既に、「住宅」と呼べる住宅を求めて、数多くの人々が既に動き始めている(参照:前回)。もちろん自治体も対策を講じているのだが、住宅不足はあまりにも深刻だ。たとえば5月3日の毎日新聞報道「市営住宅で初抽選 15.8倍の申し込み」によれば、

熊本地震の被災自治体で最も多い7836人(3日現在)が避難生活を送る熊本市で3日、一時避難先となる市営住宅の抽選が初めて実施された。250戸の提供に対し、15.8倍の3949世帯から申し込みがあり、市内で住まいに対するニーズが極めて高い実態が浮かんだ。(略)
倍率は中央区が最高の90倍で、最低は北区の4.4倍だった(引用注:行政区は5つ)。

 とあり、需要に対して供給が少なすぎる現状は明らかだ。

 もちろん、熊本県も住宅供給に動いている。県営住宅の抽選も既に行われており、「62戸に対して790世帯の応募があった」という(同記事)。市と県合わせて、公営住宅の競争率は15.2倍、当選確率は6.6%だったことになる。

 熊本地震で「住」を失った、あるいは失いそうな生活保護の方々、特に高齢であったり障害を抱えていたりする方々は、これからどうなるのだろうか?

 今回は「生活保護」に限定せず、災害弱者の「住」として問題を捉えてみる。そもそも生活保護世帯の80%以上は、高齢・傷病・障害・ひとり親など、何らかのハンデを抱えており、少なくとも「災害強者」ではない。生活保護世帯の被災とは、ふだんから災害弱者かつ貧困である世帯に、さらに災害による追い打ちが加わるということだ。

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

生活保護当事者の増加、不正受給の社会問題化などをきっかけに生活保護制度自体の見直しが本格化している。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を紹介しながら、制度そのものの解説。生活保護と貧困と常に隣り合わせにある人々の「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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