熊本地震から3週間。余震の続く中で、支援体制の整備・被災者の生活再建への取り組みが少しずつ進んでいる。高齢者・障害者などの災害弱者、特に貧困状態にある災害弱者の「住」は、これからどうなるのだろうか?

熊本地震から3週間
見えてきた深刻な住宅不足

低所得層ほど「住まい難民」になりやすい被災地の現実熊本地震を受け、仮設住宅の建設が始まっているが、本当にこれで深刻な住宅不足の解消につながるのか

 2016年4月14日夜、熊本県熊本地域を襲った最大震度7の地震以後、熊本県・大分県は引き続き地震に襲われ続けている。震度5弱・5強・6弱・6強・7だけで18回、震度1以上の体感地震の合計は1200回を越えている。本原稿の執筆中にも「震度4」という報道があり、気象庁は「熊本県や大分県では今後も当分の間は最大で震度6弱程度の激しい揺れを伴う地震に警戒を」と呼びかけている(NHKニュース「熊本地震 震度1以上 1200回超える 引き続き警戒を」)。何にどう「警戒」すればよいのだろうか? 「とりあえず、避難所にいる」を含め、ある程度は安全といえる場所で生活することは、「警戒」の一つだ。

 その熊本県では既に、「住宅」と呼べる住宅を求めて、数多くの人々が既に動き始めている(参照:前回)。もちろん自治体も対策を講じているのだが、住宅不足はあまりにも深刻だ。たとえば5月3日の毎日新聞報道「市営住宅で初抽選 15.8倍の申し込み」によれば、

熊本地震の被災自治体で最も多い7836人(3日現在)が避難生活を送る熊本市で3日、一時避難先となる市営住宅の抽選が初めて実施された。250戸の提供に対し、15.8倍の3949世帯から申し込みがあり、市内で住まいに対するニーズが極めて高い実態が浮かんだ。(略)
倍率は中央区が最高の90倍で、最低は北区の4.4倍だった(引用注:行政区は5つ)。

 とあり、需要に対して供給が少なすぎる現状は明らかだ。

 もちろん、熊本県も住宅供給に動いている。県営住宅の抽選も既に行われており、「62戸に対して790世帯の応募があった」という(同記事)。市と県合わせて、公営住宅の競争率は15.2倍、当選確率は6.6%だったことになる。

 熊本地震で「住」を失った、あるいは失いそうな生活保護の方々、特に高齢であったり障害を抱えていたりする方々は、これからどうなるのだろうか?

 今回は「生活保護」に限定せず、災害弱者の「住」として問題を捉えてみる。そもそも生活保護世帯の80%以上は、高齢・傷病・障害・ひとり親など、何らかのハンデを抱えており、少なくとも「災害強者」ではない。生活保護世帯の被災とは、ふだんから災害弱者かつ貧困である世帯に、さらに災害による追い打ちが加わるということだ。