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永田公彦 パリ発・ニッポンに一言!

人間に「正規・非正規」のレッテルを貼る不思議の国ニッポン

永田公彦 [Nagata Global Partners代表パートナー、北九州市立大学特任教授]
【第15回】 2016年5月19日
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 危機的な状態にある日本の正規雇用と非正規雇用の労働者間格差。その是正策を講じるには、この問題の背景にある日本人社会の文化特性を考慮する必要があります。「周りに流される」「個人の権利より組織に対する義務」という日本の文化を取り上げた前回に続き、今回は、「肩書を通して人を見る」「組織への献身度で人の価値を測る」という2つの文化に着目し、これを踏まえパラダイムシフトを起こす必要性に触れます。

カースト化する
「正規・非正規」への懸念

 日本のいわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間にある格差は、先進国中、最悪の状態にあるといっても過言ではありません。例えば時間あたり平均賃金。正規雇用労働者(無期雇用・フルタイム勤務)を1とした場合、非正規雇用労働者では、「有期雇用・フルタイム勤務」が0.68でOECD加盟21ヵ国中16位、「有期雇用・パートタイム勤務」にいたっては0.53で最下位です。

 その結果、非正規雇用労働者の雇用者全体に占める割合が40%を超えることも相まって、日本のワーキングプア比率は、OECD加盟27ヵ国中21位、非正規雇用労働者の世帯の貧困率は20%(正規雇用労働者の4倍)にまで上昇しています(出所:OECD 2015年データ)。

 筆者は、こうしたショッキングなデータを見るたびに、2つことを懸念します。1つは、格差の横(領域)への拡がりです。待遇の格差(賃金、福利厚生、能力開発機会等)が、アクセシビリティの格差(住宅賃貸、各種ローン取り付け、医療機関、教育機関、結婚相手等)や希望の格差(将来の仕事、健康維持、生活や仕事に対する希望)に今後ますます拡がることへの懸念です。

 2つ目は、格差の縦(時間)への伸びです。世代を超えて、正規の家系は正規に、非正規の家系は非正規となる可能性です。インドのカースト制度のように社会階層が世襲化することへの懸念です。

人間に「正規」と「非正規」の
レッテルを貼る不思議の国

 日頃、私たちは「正規○○」という表現をよく耳にします。正規代理店、正規ルート、正規商品、正規価格、正規教育、正規入社、正規資格、正規窓口、正規手続きなどです。辞書にも「正規○○」とは「正式の規則に基づいていること」とあるように、一般的に日本人は、この用語に対しもつ印象はポジティブです。例えば、正式な、王道の、真面目な、質が高い、安心できる、社会に認められている、そのかわり価値(値段)も高いなどです。

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永田公彦 [Nagata Global Partners代表パートナー、北九州市立大学特任教授]

フランスを拠点に、フォーチュン・グローバル500企業をはじめ数多くの欧州企業(一部アジア系企業)に対し、国際経営・事業・組織コンサルティングをおこなう。特に、「アジア・欧州・アフリカ市場への事業進出と拡大」「海外子会社の変革マネジメント」「人と組織のグローバル化」の3領域における戦略構築から実行支援が専門。日本経済新聞レギュラーコラムニスト(ネット版07-10年)、講演・出稿記事多数、リヨン第一大学客員講師(98‐00年)。1960年生まれ。西南学院大学(文学部)卒業後、82年JTBに入社、本社及び海外事業部門のマネジャーを経て、96年フランスに拠点を移す。MBA(EMリヨン)を取得後、リヨン商工会議所(アジア担当マネジャー)、仏系中堅医療機器メーカー(COO~企業再生ミッション)、欧州系調査コンサルティング会社を経て2003年より現職。
オフィシャルサイト:http://www.kimihikonagata.com


永田公彦 パリ発・ニッポンに一言!

「グローバル社会で起きる諸問題や変革のうねりに対し、日本人、日本人社会、日本企業や日本の政治はどうあるべきか」…国際派コンサルタントとして、日本の外から世界各地と日本を大局的に見つめる筆者が提言します。

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