竹中平蔵教授が「『親の教科書』といえる稀有な良書」と評し、『「学力」の経済学』著者、中室牧子氏が「どうやって子どもをやる気にさせるのか、その明快な答えがここにある」と絶賛。また、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「リーダーシップ育成の教科書として、目下最良の一冊」と称する『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』
発売わずか3ヵ月で15万部を突破し、子育てのみならず、ビジネスやあらゆる分野のリーダーシップを伸ばすビジネス書として、異例のベストセラーとなっている本書の内容から「本当にためになる」育て方の秘密を公開する。

外国語教育は、幼少期から慣れさせる──幼児期に英語を学べなかった後悔は大きい

●英語に親しめる環境で育ててほしかった
 昨今のグローバル化の進展を考慮し、幼少期は英語圏で生活することが効果的だと思います。私は日本で生まれ育ったため、いまだに英会話に苦労していますが、幼少期に英語圏で生活することによって、語学の問題が解決されるだけでなく、より幅広い視点で物事を考えられるようになると思います。(東京大学大学院工学系研究科Mさん)
●子どものころから英語をやっていた相手には勝てない
 帰国子女や、英語教育に力を入れている名門幼稚園から英語を続けてきた友人たちを見ていると、中学から英語を始めた者には超えがたい英語力がついていると思いました。少々無理をしてでも幼少期に英語圏で生活するか、幼稚園から英語に親しむ環境で育ててほしかったです。(東京大学大学院経済学研究科金融システム専攻Nさん)

母国語の大切さを、外国語回避の言い訳にしてはならない──英語ができなければ「門前払い」の仕事も多い

 アンケートでは幼少期から外国語教育をしてほしかったという学生さんの声が多く聞かれましたし、実際に幼少期からの英語教育熱が急速に高まっています。

 最近わが家に招いたお客様のお一人が、小学1年生の息子さんを連れてきました。中央官庁で官僚をしていた日本人父子ですが、親子の会話は英語でした。

 不思議に思って聞きますと、子どもさんを、すべての科目が英語で教育されるインターナショナルスクールへ通わせているそうで、家でも英語で通していると言います。ご夫婦とも英語が堪能で、仕事でも英語ができることからくる優位性を身に沁みて感じていることからそうすることに決めたとのことでした。

 そういえば香港で活躍している韓国人夫妻も、同じような経験から子どもさんを、インターナショナルスクールへ通わせていました。

 早くから子どもに英語を学ばせるかどうかは、どのような子どもに育てたいかという親の理念とも密接に関係してくると思われます。

 英語を駆使して世界で活躍している人たちの話を聞いていますと、子どもには是が非でも早期の英語教育を受けさせたいと願っている人が圧倒的に多いです。

 英語の早期教育賛成派の人は、脳の働きが柔軟なうちに、ネイティブの発音を覚え、ネイティブが母国語を覚えるように英語を覚えていく効用を主張します。これに対し英語を勉強させるのは10歳以降からでいいという人たちは、発音のレベル等で多少遅れを取っても、むしろそれまでに母国語で細やかな感情表現ができたりする能力を身につけさせるべきだと主張します。

 私自身は、母国語もしっかり学ぶという条件付きですが、外国語教育は幼少期から徹底的に始めたほうがいいと思います。というのも、私の子どもは結果的に全員欧米に留学したり勤務することになりましたが、海を渡った時期が早い順に、英語の発音や使い方がうまいもので、この差には明白なものがあります。

 私の周囲でも、欧米人の先生が営む英語塾に通い、ネイティブに近い発音で英語の詩を暗唱できる幼稚園児が何人もいます。小さいころから英語を続けて中学生になった子どもさんは、学校での教科書の進捗はおかまいなしに、どんどんその力を磨いていくことが多いです。

 もちろん、外国語教育に熱を入れるあまり、母国語がおろそかになり、思考力の発達が遅れるようでは本末転倒です。ですが、幼少期から母国語を学ぶことと外国語を学ぶことは、決して二項対立の概念ではなく、並行して学ぶことが可能です。

 外国語の重要性は、英語を使う職場で働いたことがない「親の世代」が古い価値観で判断してはいけないものです。英語ができるだけで良い仕事(望む仕事)を得られるわけではありませんが、英語ができなければその入り口にも立てないことも多いという時代に変わってきています。

 ちなみに、私たちの世代では外国語といえば英語でしたが、今では中国語やインドネシア語など、さまざまな言語を学ぶメリットが高まっています。重ね重ね古い世代の古い価値観で、言語教育観を押しつけないようにしたいものです。
(※この原稿は書籍『一流の育て方』から抜粋して掲載しています)