ソニー創業者・井深大氏も絶賛した『赤ちゃん教育――頭のいい子は歩くまでに決まる』や、『0歳からみるみる賢くなる55の心得』などが大人気の「脳科学の権威」久保田競氏と「脳科学おばあちゃん」久保田カヨ子氏。これまで、長らく、育脳教育の最重要指針に「早期からの算数力アップ」を掲げてきた。
そして、84歳になったばかりの注目書籍『小学校前にみるみる算数力がつく15の習慣――お風呂で唱えるだけで算数力がアップ!「お経式暗算法」ミラクルシート付き』が発売たちまち大反響!アマゾン第1位(「教育・学参・受験」&「子育て」ジャンル)となった。
オビには「2歳でも小1の算数がとける!」という衝撃的なコピーがあり、最新脳科学に基づく「お経式暗算法」を取り入れた、世界初!?のメソッドで、お湯につけるとピタッとつく「お風呂に貼れるミラクルシート付き」だという。
今回は、クボタメソッドの知られざる開発エピソードと、天才数学者と脳科学おばあちゃんとの秘話を紹介しよう。

4歳の長男が記憶力の非凡さを示した

脳科学おばあちゃんは<br />天才数学者・岡潔から<br />何を学んだのか?久保田カヨ子
(Kayoko Kubota)
脳科学の権威である京都大学名誉教授・久保田競氏の妻で2人の息子の母。この20年で3000人以上の赤ちゃんの脳を活性化させてきた。テレビなどで「脳科学おばあちゃん」として有名。累計38万部突破のシリーズ『0歳からみるみる賢くなる55の心得』『1歳からみるみる頭がよくなる51の方法』『カヨ子ばあちゃん73の言葉』『カヨ子ばあちゃんの男の子の育て方』『カヨ子ばあちゃんのうちの子さえ賢ければいいんです。』『赤ちゃん教育──頭のいい子は歩くまでに決まる』『カヨ子ばあちゃんの子育て日めくり』(以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。ズバッとした物言いのなかに、温かく頼りがいのあるアドバイスが好評。
【脳研工房HP】www.umanma.co.jp/

 1960(昭和35)年、私は東京大学大学院の学生で猫の脊髄(せきずい)の反射機構の研究をしていました。

 学位論文はすでに医学雑誌で出版されていて、1年ほどたてば、医学博士の学位を得て、どこかに就職する予定でした。

 しかし突然、指導教授の時実(ときざね)利彦先生に、
「アメリカへ留学しませんか」
 と言われたのです。

 研究が面白かったのでいったんは断ったのですが、「ともかく、だまされたと思って行ってください」と頼まれました。

 やむをえず、家内(久保田カヨ子)は仕事を辞め、必要な旅費100万円は両親が50万円ずつ捻出し(当時はすごい大金で、サラリーマンの月収は2万円台の時代)、1960年12月1日に羽田から出発しました。

 行く先はオレゴン州立医科大学の生理学教室。

 アメリカ生理学会の会長をしたり、生理学専門誌の編集委員や編集長をして小脳で業績を挙げていた、J・M・ブルックハルト教授の研究室でした。

 サンフランシスコで国際線から国内線に飛行機を乗り換え、そこから教授に電話をかけました。

 米国で長距離電話がかけられるようになったのは1920年ごろですが、米国なので米国式で電話をかけなければなりませんでした。

 まず、公衆電話で交換手に誰にかけるかを言います。
「person to person call(指名通話)」か「collect call(料金受信者払いの通話)」かを言い、料金をコイン(空港で大量に集めるのが大変)で投入するとつないでくれました。

 先方は、外国人が直接電話をかけてきたので、ビックリ!

  教授は空港へ迎えにきてくれました。

  教授のワゴン車でホテルへ向かったのですが、当時4歳の長男はその車を見て、
「何年型のダッジ!」
 と言ったので、教授が驚きました。

 本物の米国車を初めて見て、「何年型車だ」と言えたのです。

 長男は、モデルカーのおもちゃが好きで、輸入もののおもちゃカーを手に入れて遊んでいたのです。

前頭前野をきたえると、長期記憶も短期記憶も記憶能力が高まります

 それから半年ほどたって太平洋沿岸に貝拾いに行ったのですが、すぐそばで小さい竜巻が発生!

 急いで長男を吸い上げ、体が30cmほど空中に浮き上がりました。

 すぐに着地して、親子ともどもケガはなかったのですが、これが竜巻を見た初体験でした。

 最近、日本でも、竜巻が発生したので、50年以上前の「竜巻事件を覚えてるか?」と長男に聞いたところ、「覚えている」という返事で、そのときの周りの風景を刻銘に説明してくれました。

 聞きながら、そんなことをよく覚えているなあと感心しました。

 この事件を家族で話題にしたことは一度もなかったからです。