市議選では立候補者1.21人に1人が当選!
自治体職員の募集よりも競争率は低い!?
市議会議員になりたい!来年4月の統一地方選挙に出馬する!
――ある日いきなり、あなたがこんな決意表明をしたら、家族や友人はどんな反応をするでしょう。おそらく、親しい人ほど「カネもコネもないのに当選するはずがないんだから、やめておけ」と止めるのではないでしょうか。あなたが現在、安定した仕事をもっていればなおさらです。誰もが無謀な挑戦だと受け止めることでしょう。ですが、実際にはまったく無謀でもないのです。
NPO法人ドットジェイピーが全国の市区町村議会それぞれの、直近の選挙での議員定数と立候補者数を調べたところ、平均倍率はなんと、1.21倍でした。つまり、立候補した人の1.21人に1人が当選した計算です。当選確率にして82.6%。また、立候補者数が議員定数と同数か、下回ったため、「全員当選」となった自治体も150市町村以上に上りました(2010年3月末時点調べ。補欠選挙含まず。以下同)。
「1.21人に1人が当選」というのは全国平均の数字ですので、事情は自治体によって異なります。一般的に都市部での当選倍率は高く、地方は低めです。ちなみに前回選挙(補欠選挙を除く)で当選が難しかった自治体のベスト3は、1位・福岡県福智町(定数20・立候補39人=当選倍率1.95倍)、2位・茨城県古河市(定数30・立候補58人=当選倍率1.93倍)、3位・高知県東洋町(定数10・立候補19人=当選倍率1.90倍)でした。
全国難関ベスト3の市区町村でさえ立候補すれば当選する確率は50%以上、倍率にして1倍台なのです。大学受験や就職活動など、あなたがこれまでの人生で突破してきた数々の選考試験に比べれば、数字で見ると市議会議員になるほうがずっと"広き門"と言えます。
こんなエピソードもあります。2009年10月、佐賀県は県職員の採用を一部前倒しで実施する「行政特別枠」の受験者を募集しました。すると、定員3人に対して469人もの応募があったそうです。競争倍率は実に156.3倍。それに対して佐賀県内の市町村議員になるための当選倍率は平均1.23倍でした。最も難関の佐賀市で1.66倍、最も倍率の低い北江町では立候補した全員が無投票で当選しました。