足元、景気に黄色信号か?
最近、日本で発表された経済指標からは、自動車を中心に製造業の在庫調整圧力が高まっていることが示されている。加えて、9月に今年4~6月期の日本のGDPが年率▲7.1%へと下方修正されたこともあり、日本経済の回復に対してアラームが鳴り出したとの見方も急に台頭している。
以下の図表1は、鉱工業生産指数の推移である。鉱工業生産指数は今年1月にピークをつけ、すでにピークから▲8.1%の低下になっている。前回の景気後退期、2012年の景気後退期の調整幅が▲8.0%であったことから、今回も景気後退期との見方も生じ得る。
筆者の基本的な認識は、現状が2013年以降、脱「失われた20年」とした転換の潮流にあるというものだ。同時に本論の趣旨は、短期的な循環は調整の不安も生じたことで、その短期と中期の峻別をした冷静な見方が必要との点にある。
(資料)経済産業省「鉱工業指数」よりみずほ総合研究所作成
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自動車は在庫調整に
7月下旬以降の日本経済の論点は、自動車を中心とした耐久財の在庫調整によって先述のような景気の腰折れが生じるのではないかとの不安にあった。自動車の変調は、4月の消費税引き上げに伴い、2013年度後半の駆け込み需要の拡大とその反動が生じたことによるものである。
また、国内では6月を中心とした豪雨による天候要因が加わったこと、加えて8月以降、西日本を中心に豪雨が訪れたこともマイナス要因である。以下の図表2は、乗用車の在庫循環を示すものだが、乗用車の在庫循環図では、4~6月期に在庫積み上がり局面に入り、7月以降は在庫調整局面に入っている。今後1~2四半期程度は、在庫調整が必要になる可能性が強い。