【第136回】 2009年12月17日
税収は増えずに業界が疲弊するだけ?
たばこ増税の根底にある「意外な誤解」
「健康に悪いしおカネもかかるし、百害あって一利なし。これを機に、今度こそ禁煙してちょうだい!」
最近、妻や子供にこのように迫られて、辟易している愛煙家は少なくないだろう。世間でいよいよ“禁煙ムード”が高まっている背景には、「たばこ増税」報道の影響がある。
現在、民主党政権は、2010年度税制改正において、たばこ1本当たりの税率を2~5円引き上げる方向で調整に入っている(直近では3円説が有力)。これを1箱当たりに直すと、市販価格の値上げ幅は40~100円程度となる見込みだ。
日本は諸外国から「禁煙化への取り組みが遅れている」「たばこの値段が安すぎる」と指摘されていることもあり、喫煙人口の減少を目的とする増税議論は、自民党政権時代から行なわれてきた。
ここにきて議論が本格化したのは、10月上旬の政府税制調査会において、鳩山首相が「健康に対する負荷を減らすために必要」と、増税に意欲を示したためだ。
過去10年間に3回実施され、いずれも1本1円、1箱20円程度の値上げに留まったたばこ増税だが、今回の上げ幅は過去最高水準となる。当初は厚生労働省や禁煙推進派議員から「価格を欧米なみの1箱600円~1000円にすべき」という意見も出たが、「喫煙者への配慮も必要」と議論が割れた結果、結局小幅増税に落ち着きそうだ。
当初の見通しよりも小幅になりそうとはいえ、今回の増税によって喫煙者が被る影響は、実際どれほどなのか?
たとえば、喫煙が可能になる20歳から定年退職まで、毎日1箱ずつたばこを吸い続けた場合、生涯のたばこ代は400万~500万円にも上ると言われる。さらに新たな値上げともなれば、たとえ数十円でもコストはバカにならないことがおわかりだろう。
「今や喫煙できる場所を探すのも一苦労なのに、不況でたばこ代まで減らされて・・・・・・」と嘆く愛煙家にとって、今回の大増税はまさに「泣き面に蜂」なのである。
戦々恐々としているのは、なにも喫煙者ばかりではない。増税によって「売り上げ減」が確実視されているたばこ製造・販売業者も同様だ。
国内で65%のシェアを持つJT(日本たばこ産業)は、「先月行なわれた財務省のヒアリングで、国内産業への影響を詳しく説明し、増税に対して断固反対の姿勢を示した」(広報担当者)と危機感を露にしている。
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