ここ10年でデータ分析の革新的なソフトフェアがいくつも登場しているが、多くのビジネスパーソンにとって、いまもExcelが定番のツールであることに変わりはない。日々の業務に不可欠なこのソフトを使いこなすことで、仕事の生産性を上げることができる。Excelのトレーニングを10年以上行ってきた筆者らが、その中でも特に効果の高い10の機能を紹介する。


 ここ10年ほどの間に、データを分析・操作・可視化するための革新的なビッグデータ・ソフトウェアが相次いで現れてきた。しかし、一般の知識労働者がデータから何かしら読み取ろうとするときに使うのは、この30年間、マイクロソフトのExcelが不動の定番である。マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは、Excelはいまでも群を抜く製品だと主張しており、世界中で7億5,000万人もの知識労働者が、その主張を日々裏書きしている。

 筆者らは10年間にわたってExcelの使い方を教え、実際に使ってきた。オフィススタッフ数百名を対象とした筆者らの調査によれば、私たちは仕事時間の10%以上をワークシート上で過ごしている。研究開発や金融の仕事に携わっている人の場合、その時間が30%近くにもなる。1日当たり2時間半という計算だ。

 そこで、ちょっと想像してみてほしい。世界中の働き手が、このソフトをもう少し上手に使いこなせるようになったらどうなるか。時間が節約され、生産性が高まるのは間違いないだろう。

 筆者らは昨年、Excelの使える技100を集めたThe Definitive 100 Most Useful Excel Tipsをオンラインでまとめるにあたり、Excelの専門家たちの意見を聞き、何万件ものテスト結果や教習コース利用データに目を通した。

 Excelのどの機能にも、少なくとも1件の使用事例が見られたものの、Excelの全機能を使いこなしている人は一人もいなかった。Excelの機能は500を超えるが、現在の知識労働者にとって本当に役立つ関数や機能は100ほどに絞られる。

 筆者らはこの100のうち、特に短時間で習得でき(合計でおよそ2時間)、生産性を向上させる効果が高いもの10を絞り込んだ。10の機能は、筆者らがまとめたトップ100のリストで有用性の高いものから順に並べてある。ほかの多くの人と同じように、Excelについて次に何を学べばよいか途方に暮れているなら、2×2マトリックス法を使って、役立ち度と習得に要する時間の兼ね合いを判断するといいだろう。