子育てに専念するために離職した人が、再就職することは極めて難しいのが現実である。その問題を積極的に解決することは、企業にとっても大きなメリットをもたらす。人手不足という喫緊の課題を解消できるだけでなく、優秀なリーダー人材を雇い入れるチャンスにもつながるからだ。筆者は、再就職支援に有効な5つの戦略を提示する。


 2008年、ハギット・カツェネルソンは幼い3人の子どもの育児に専念するために、ITのスタートアップ企業を退職した。

 4年後、彼女は再就職の準備を整え、意欲満々だった。電気工学の学位とMBA、そして過去14年間の実務経験を持っている彼女は、プロジェクトのコンサルティングをしたり、モバイル用ギフトアプリを独自に開発したりして、新たにスキルを磨いていた。

 ところが、いざプロダクト・マネジャー職に応募してみると、壁にぶつかった。それも一度だけではない。5年間ずっと、である。

 雇用者側は彼女の資質や熱意を疑うか、彼女をまるっきり無視した。「もう仕事探しはやめたらどうかと、善意で言ってくれる人が何人もいました。『閉じたドアに頭を打ちつけているようなものだ』って」と彼女は言った。

 子育て世帯の話となると、企業や政治家は、子どもが誕生したばかりの母親や父親に焦点を当てがちだ。だが、子どもが幼いときに職を離れ、しばらくしてから復帰を望む人々こそ、米国経済にとって最大の未活用資源かもしれない。かつてないほど失業率が低く、企業が人手不足を嘆くいまだからこそ、この人材プールを活用すべきだ。

 この1年、私はこの問題に取り組む、いくつかの組織と仕事をしてきた。また、より多くの人を職場復帰のコースに乗せる戦略について、多くの企業幹部にインタビューをした。

 以下は、最も有望な5つの戦略である。