それが故意であるか否かは状況によるが、人は日々、大小さまざまな嘘をついている。うまく取り繕えていると思っているかもしれないが、実際はそうではない。わざわざ反論するのが億劫なだけで、多くの人があなたの嘘に気づいており、信頼は着実に失われている。嘘を重ねて自滅することを防ぐには、3つのステップが有効である。


 人は1日に平均1~2回、嘘をつく。嘘が混じる割合や嘘をつく状況、事実を誇張する程度はさまざまだが、専門家の意見が一致することが1つある。私たちは誰でも、ときどき嘘をつくのだ。これだけ嘘が蔓延していることを考えれば、いつかは嘘がばれることは避けられそうにない。

 ところが、多くの人がそうは思っていない。大半の人が、自分の嘘が通用したと信じているのだ。その主な理由は、嘘に反論する人がめったにいないから、なのだが。しかし実際は、多くの場合、相手の表情に疑いやあからさまな不信を示唆する手がかりが見えている──嘘をついている本人が気づこうとすれば見える。

 先日、私はクライアントの会社の経営検討会議で、そのような場面に遭遇した。

 あるエグゼクティブ(グレッグと呼ぼう)が財務状況の報告を始めた。彼が前期の目標未達と来期の見通しについて説明している間、ほかの出席者は落ち着かない様子で、困惑しているようにさえ見えた。訳知り顔で目配せを交わし、皮肉めいたぎこちない質問をする彼らは、グレッグの説明に納得していないようだった。

 会議の後で私はグレッグをわきに呼び、彼の同僚の一部が疑念を抱いているようだったと伝えた。幸い、グレッグには挽回できる方法がいくつか残っていた。

 論点をすり替える、ミスを否定する、データを粉飾する、貢献度を誇張するといった戦略が裏目に出たと感じたら、辛い沈黙や眉をひそめるなどの反応がおさまっても、うまくいったと思ってはいけない。すでにあなたの評判に疑問符がついているのだ。少しでも信頼を取り戻すためには、どうすればいいだろうか。